0から1をつくる

「0から1をつくる」を読みました。さわやかな読み物でした。平昌五輪、カーリング女子は銅ダルを獲得しました。著者、本橋麻里さんは、キャプテンであり、チームを立ち上げた本人です。現在は北海道北見市ロコ・ソラーレ」の代表理事としてチームマネジメントと後進の指導に携わっているそうです。
本書は、その著者の「細腕繁盛記」です。トリノバンクーバーで選手として活躍した後、地元に戻り、表題のように「0から1をつくる」活動を続けた苦労話です。メンバー集め、資金集め、コーチの招聘、選手のモチベーション維持、練習、多岐にわたる活動を企画し実行しました。「1から100にする」より難しい仕事です。素晴らしい!
もぐもぐタイム」では地元のお菓子やいちごを食べていました。それだけでも町おこしになっていました。北見市が全国に知れ渡ることにもなりました。その陰には本橋さんの地道な活動がありました。私は「スポーツ成功譚」というより「町おこし譚」として楽しく読みました。日本人は五輪大好きです。メダルがとれたことで報われて本当に良かったと思います。

はつらつと老いる力

「はつらつと老いる力」を読みました。著者は帯津良一さんです。いろいろな雑誌に健康関連のコメントを執筆しておられる方です。医者は人相手の仕事です。一見、理系の仕事に見えますが、人文系の仕事です。人の気持ちを理解できなければ、体も心も治療することはできません。失敗しない秀才には適した職業ではありません。諦めや許す気持ちがない人は医者になってはいけないと思いました。哲学者の資質を持っている人が医者になるべきだと思いました。また、気功を始め色々な健康法も大変参考になりました。これからの私の健康法に大いに参考になりました。早速、脳梗塞と心疾患の予防に納豆キナーゼを夫婦で飲むことにしました。備忘します。

両親も友人も、周りの人は皆、自分のことを東大生だと思っている。だけど東大生ではないわけです。もっと言えば、大学生でもない。誰にも相談できないまま、何とも言えない思い出、空白の1年を過ごしました。今でも私の中に、この1年は痛みとして残っています。でも今振り返ると、私の人間形成のでとても大事な1年間でした。1回で合格していたら、もっといやらしい医者になっていたでしょう。優しさの根源にある人に対する思いやりが、挫折によって新しく芽生えたり、挫折を味わって困ったりすることがあります。ですから医者は挫折感を知ってる方が絶対にいいと思うのです。ページ31
人の一生には、険しい道もあれば、平らな道もある。また、穏やかな流れもあれば、さかまく大波もある。こういうことをすべての巡り合わせも自然であって、これを免れるわけにはいかないというのです。辛いことも楽しいことも、避けようとするのではなく、そういうものだと思って楽しむのがいい、と佐藤一齋は書いています。ページ34
健康な人でも、一人一人個性を持っています。得意なところもあるし、弱点もある。だから、弱点を補うようなサプリメントを、日ごろから取っていくことがいいと思うのですね。後は、安心安全なもので、ねごろや手ごろで、科学的根拠はある程度あって、できればしっかりした考えを持ってる会社で作ってるものがいいですね。サプリメントの原料の良し悪しを判断する3つの条件として、「まず農薬を使っていないこと。2番目はきれいな水が供給されてる土地で作られていること。3番目は、心の綺麗な人が作ってること」そんな話をしてくれた人がいました。ページ81
私自身は、以前は「朝の気功に夜の酒」やっていれば大丈夫だと思っていました。でも知り合いの人が脳梗塞で倒れ、半身不随になってしまったことをきっかけに、血液をサラサラにするサプリメント飲み始めました。納豆キナーゼという、納豆菌にくっついている酵素サプリメントです。ページ82
私が今あるのは、このおばさんの影響が非常に大きいと思っています。おばさんは、私が結婚してまもなく亡くなりました。お骨は、おばさんの郷里の北海道函館の東本願寺函館別院支院の廟に納められています。毎年夏になるとお参りに出かけます。以前は札幌に住んでいたおばさんの親戚の方と日にち合わせてお参りし、一緒にお酒を飲むのを楽しみにしていました。今その方も亡くなり、墓参りに行っても日帰りですが帰って来てきます。数年前、夏の時期に忙しく過ごしていたことから、今年はお墓参り行くのをやめようかなと思ったことがありました その時、たまたま一緒に仕事していた出版社の人にそんな話をしたら、「それはいけません続けるべきです」としかられました。ページ116

ファクトフルネス

「ファクトフルネス」を読みました。本書を推薦してくれた児島宏行さんに感謝します。衝撃的な本でした。冒頭に質問項目があります。その質問に対しての私の回答は、ほとんどが誤答でした。例えば「電気を使える人が全人類で何%いるか」私は50パーセント程度だと思ってましたが、現実は80パーセントの人が使えているそうです。世界は私が思っている以上に豊かになっています。また人類の暮らしぶりを分析するのに「金持ち」と「貧乏」の二つで考えるのではなく、所得階層を4つのレベルで分けると世界が、よく理解できると述べています。得心しました。本書を読んで、私が現在の世界を誤って認識していることがよくわかりました。恥ずかしいです。これからは事実に基づいて世界を正見ることを心がけます。ついでに言うと私のこれまでのビジネス上の決断はほぼ「思い込み 」だったのではないかと深く反省しました。備忘します。

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

時を重ねるごとに少しずつ、世界は良くなっている。何もかもが毎年改善するわけではないし、課題は山積みだ。だが、人類が大いなる進歩を遂げたのは間違いない。これが、事実に基づく社会の見方だ。ページ21
ただの勘違いでなくとんでもない勘違いというのは、それがとんでもなく的外れな世界の見方につながる。特に、分断本能による勘違いはタチが悪い。「金持ち」対「貧乏」という、世界を間違った枠組みで分けてしまうと、頭の中にある世界のイメージが隅々まで歪められてしまうからだ。ページ31
ドラマチック過ぎる「分断された世界」の見方の代わりに、(人類を経済的に)4つのレベルで考える。これこそが、この本で伝授する事実に基づいた思考法の1つ目にしてして最も大事なポイントだ。意外と簡単だっただろう?ページ58
世界の今を理解するには、「悪い」と「良くなっている」が両立することを忘れないようにしよう。ページ90
悪いニュースの方が広まりやすいと心得ておけば、毎日ニュースを見るたびに絶望しないですむ。大人も子供も是非この考え方を身に付けてほしい。ページ91
貧しい子供助けると、「人口はひたすら増え続ける」という主張は、正しいようで正しくない。実際は「貧しい子供を助けないと、人口はひたすら増え続ける」。多くの家庭が極度の貧困にくらし続けると、その子供たちによって人口はさらに増えてしまう。人口増を止める確実な方法は1つしかない。極度の貧困をなくし、教育と避妊具を広めることだ。ページ116
現在、世界が危険だという趣旨のニュースは、昔よりも効果的に配信されるようになった。一方で、現在の世界は、人類史上類を見ないほど平和で安全だ。ページ137
恐怖本能は、正しい使い方をすれば役立つこともある。しかし、世界を理解するには全く役に立たない。恐ろしいが、起きる可能性が低いことに注目しすぎると、ほんとうに危険なことを見逃してしまう。ページ158
アメリカやヨーロッパに暮らす人々は、世界の人口の大半がアジアにいることを理解するべきだ。西欧諸国の経済力は80パーセントではなく、20パーセントに近づきつつある。けれども、古き良き時代の記憶が強すぎると、この事実がなかなか受け入れられない。ページ179
同じ国の中にも大きな違いがあり、国が違っても所得が同じなら、文化や宗教にかかわらず共通点は多い。そこから、国によるステレオタイプには全く意味のないことがわかる。ページ204
むしろ、自分が肩入れしている考え方の弱みをいつも探したほうがいい。これは自分の専門分野でも当てはまる。自分の意見に合わない新しい情報や、専門以外の情報を進んで仕入れよう。自分に賛成してくれる人ばかりと話したり、自分の考えを裏付けるの例を集めたりするより、意見が合わない人や反対してくれる人に会い、自分と違う考えを取り入れよう。それが世界を理解する素晴らしいヒントになる。ページ241
民主主義でなければ経済は成長しないし、国民の健康も向上しないという説は、現実とはかけ離れている。民主主義を目指すのは構わない。だが、ほかのさまざまな目標を達成するのに、民主主義が最も良い手段だとは言えない。ページ258
数字がなくては世界は分からないし、数字だけでも世界は理解できない。政府がなければ国が運営できないけれど、政府が全ての問題を解決できるわけではない。いつも民間に任せたほうがいいわけでもなければ、いつも公的機関に任せるほうがいいわけでもない。1つの指標が良い社会であることを示しているからといって、他のすべての面がいいわけではない。どちらか一方が正しくて、もう1つは必ず間違っているわけではない。どちらもいいし、ケースバイケースなのだ。ページ259
物事がうまくいってる時にも、「犯人探し本能」は湧き上がる。誰かのせいにしたい気持ちは、責める時も褒める時も同じものなのだ。物事がうまくいくと、誰か1人の功績にしたり、単純な理由見つけたくなってしまう。でも、ここでも大抵の場合、物事はるかに複雑なのだ。ページ265
物事がうまくいかないときには、犯人を探すよりシステムを見直したほうがいいと訴えてきた。では物事がうまくいったときはどうだろう? そんな時には社会基盤とテクノロジーという2種類のシステムのおかげだと思ったほうがいい。ページ278
私が一番心配している5つのリスクは、感染症の世界的な流行、金融危機、世界大戦、地球温暖化、そして極度の貧困だ。なぜこの5つを特に心配しているかといえば、実際に起きる可能性が高いからだ。ページ301
私は、何が一番深刻な問題かが分かっていれば安心できる。ここに挙げた5つの大きなリスクこそ、私たちが今力を注がなければならない問題だ。この問題に取り組むには、客観的で独立したデーターが欠かせない。グローバルな協調とリソースの提供も必要だ。そして小さな歩みを重ね、計測と評価を繰り返しながら進んでいくしかない。過激な行動に出てはいけない。どんな社会貢献に携わっていても、すべての活動家はこの5つのリスクを肝に銘じておいたほうがいい。このリスクに関しては狼少年になってはいけない。ページ306
謙虚であるということは、本能を抑えて、事実を正しく見ることがどれほど難しいかに気づくことだ。自分の知識が限られていることを認めることだ。堂々と「知りません」といえることだ。新しい事実を発見したら、喜んで意見を変えられることだ。謙虚になると、心が楽になる。何もかも知っていなくちゃならないというプレッシャーがなくなるし、いつも自分の意見を弁護しなければと感じなくていい。ページ316
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死ぬほど読書

「死ぬほど読書」を読みました。ビジネス界きっての読書家、伊藤忠商事元社長、丹羽宇一郎氏の著作です。利を追わずとも、真っ当に生きて成果をあげる、素晴らし生き方だと思います。人は嘘をつく、優秀な人ほど嘘をつきがちだとの指摘は身につまされました。周りにそう言う人がたくさんいました。人の見方の賛同します。さらに読書については、定年後、読書を重ねるごとに、読めば読むほど自分の無知を感じます。エピソードを含め、どの部分を読んでも卓見です。とても良い本を読みました。備忘します。

死ぬほど読書 (幻冬舎新書)

死ぬほど読書 (幻冬舎新書)

人間にとって一番大事なのは、「自分は何も知らない」と自覚することだと私は思います。無知の知を知る。読書はそのことを、身を以て教えてくれます。本を読めば知識が増え、この世界のこと幾分か知ったような気になりますが、同時にまだまだ知らないこともたくさんあると、それとなく気づかせてくれます。ページ27
私が考える教養の条件は、自分が知らないということを知っていることと、相手の立場に立って物事が考えられることの2つです。ページ41
では、教養磨くものは何か?それは仕事と読書と人だと思います。この3つは相互につながっていて、どれが1つが独立してあるというものではない。読書もせず仕事ばかりやっていてもほんとにいい仕事はできないだろうし、人と付き合わず、人知らずして仕事がうまくできるわけはありません。ページ42
私が本を買う決め手とするのは、目次です。書店で本を手にしたときは、まず目次をじっくり読みます。目次を見れば、どういう内容なのか、どういう構成で展開しようとしているのかがほぼわかる。作者がどういう意図を持って、何を読者に伝えたいのか、作者の論理的思考が大体見える。そうやって太枠を押さえておくと、理解も早く読むスピードも上がります。ページ57
賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶといいますが、私は怪しいと思っています。歴史が繰り返されている様を見ると、歴史から学ぶことは賢者であっても難しいのではないでしょうか。私は「賢者は自らを律し、愚者は恣にする」と言い換えたい。つまり、本当の賢者とは、自分の欲望をコントロールできる自制心を持っている人のことだと思います。ページ99
伊藤忠商事で社長になったとき、黒塗りのハイヤーが用意されましたが、私はそれを使わず、電車通勤をしました。大抵の人は満員電車に乗って、しんどい思いをして会社に通ってるわけですから、それを横目で見ながら自分だけそんなことをすれば、社員感覚がずれてしまうと思ったのです。ページ129
嘘や隠し事がきっかけとなって問題に発展するケースはいくらでもあると思います。私は優秀な人間ほど、隠し事をすると思っています。自分も周りも優秀と思っているから、何があっても、自分の評価落とさないために必死で隠す。一度嘘をついたり、変に隠したりすると、それがバレないように、また幾重にも嘘を重ねていくことになります。ページ138
自伝や回顧録というものは、人生の失敗者や敗残者はまず書きません。成功者が語る話ですから、いくら自制しようとしてもどこか自慢話になってしまうことが目に見えている。ですから教訓にはあまりならない気がします。ページ140
私は人からよく相談を受けます。傍からは順風に見える人でも、意外な悩みや問題を抱えてることが多い。私はよくこう答えます。「失敗しても死ぬわけじゃない。生きていればチャンスはいくらでもある。そもそも生きていることそのものが問題を生むんだから、問題がいやなら死ぬしかない」と。そしてこうして続けます。「問題は人との関係であり、ひとりで解決するものでもない。他人への想像力と共感が解決に導いてくれる。問題がある限り、またそれを解決する答えも必ずどこかにある。問題があるというのは、生きてる証だ。問題があることを喜べ。」ページ143
読書は心を広く豊かにしてくれます。とはいえ、本だけ読んでいればいいというものでありません。やはり仕事をやって人間というものと向き合っていなくては、本当に人間を知ったり、理解することにはならないと思います。ページ152
壁にぶつかったても投げ出したりせず、ともかくベスト尽くす。そうすれば必ず壁に穴があきます。壁を超えれば、その経験があとで生きてきます。壁にぶつかった時に学べることは、少なくありません。壁にぶつかったら、絶好の機会だと捉えるべきです。ページ165

「財界」1月1日新年特大号

「財界」1月1日新年特大号を読みました。 その中で気になった記事は2つありました。 1つは、虎屋さんの記事です。「和菓子の世界はとても懐が深い。その時代のニーズが変化に合わせて…」です 。その中で注目すべき意見がありました。新商品開発の意欲です、老舗に甘えないチャレンジを実行しています。「30年近く社長進めてきてまず感じるのは、今の時代に私は廃らせることなく済んだという安堵感があります。また私、を軽視できて心がけていることは、伝統的なお菓子を作るだけでなく、今の社会を見つめ、何が求められるが何が必要なのかを求めることです。高齢者と高齢社会について理解を深める取り組みを始め、 17年には、通常の羊羹の27分の1の硬さの柔らか羊羹『ゆるるか』を発売しました。」「最近はスポーツの際に羊羹をご利用いただく機会が増えています。余分な油分がほとんどなく、植物性の原材料し使用しているためです。羊羹は低脂質で高糖質のため、運動時のエネルギー補給に適しており、テニスやヨットなどの選手にお使いいただいています。」(ページ123)
もう一つはシリーズ母の教え「いちど立てた目標は必ず完遂するという母の姿から、今も影響受け付けている。」で す。 日総ビルディング社長大西則夫さんの話です。この記事に実兄と争った話が出ていて、その葛藤乗り越えて、また兄弟仲良くなる話が出ています。「母は94歳で息子2人と手をつないで死にたいという最後の願いを叶えて亡くなるなりました。」(ページ126)恩讐の彼方に、良い話です。

財界 2019年 1月1日号 [雑誌]

財界 2019年 1月1日号 [雑誌]

江分利満氏の優雅な生活

江分利満氏の優雅な生活」を読みました。戦中派作家と呼ばれた山口瞳の本作品は高校生の頃から気になっていました。これまで読む気にならなかったというのが本当のところです。先日、古本屋で本書を見つけて思わず購入しました。
庶民の何気ない日々のできごとを淡々と物語に紡いでいます。破天荒な父の事業欲、破綻、懲りない生活、まるで我が父、祖父を見ているようでした。母を苦しめた父を憎みながら愛する姿は我が家に通じるものがあり冷静には読めませんでした。妻が空襲で逃げ惑ったこと、大学を辞めて徴兵にいったこと、博打で食っていたことや、その後のサラリーマン生活、どれもこれも偶然の積み重ねで日々が続く…。人生とは案外こんなものかと得心しました。備忘します。

江分利満氏の優雅な生活 (ちくま文庫)

江分利満氏の優雅な生活 (ちくま文庫)

老年ということがある。そして老醜という言葉がある。「老醜」ということを江分利はむしろ有難いと思うことがある。…父が少し狂っていて、エゴイストで、急にみみっちくなり、吝嗇漢になったことを、いわば「老醜」のサンプルみたいな人間になったことを江分利は心のどこかで感謝しているような気配がある。…年老いて、心が汚くなり、心がおとろえ、みにくくなっていくのは、これも自然ではなかろうか…ページ140

「致知」2018年11月号

致知」2018年11月号を読みました。とても勉強になりました。興味を持って読んだ記事は3つありました。
1つは「自己端正こそ幸福への道」曽野綾子さんのインタビュー記事です。老境に入った人の悟りを感じました。「運鈍根。いい言葉ですよね。運と鈍と根が三つ、つながっていない人間はダメだって。私もそう思います。自分に才能がなくてもあまり気にせず、何とかなるんじゃないかと思ってひたすらやり続けるのがいいんですよ。」(ページ12 )「自分のしたいことを自分の力ですると同時に、他者のためにさせていただくという気がない人間は大人とは言えない。真に幸福な人生も生きられない。だから、7割が自分の楽しみ、3割は育てたいもののためにお金と時間を使う。年をとればとるほど、そういう人間になれるといいですね。」(ページ16)
2つ目は、「読書は人間を深める」という記事です。国語力の向上のカギを握るのは幼児期の教育であって、素読が日本独自の学習で、効果が高いことを語っております。福田恒存さんから教えてもらった言葉を紹介してます。韓非子の言葉「知らずして言うは不智なり。知りて言わざるは不忠なり。」奥の深い言葉です。
3つ目は「長期的視点が日本を救う」という記事で、「渋滞学」に学ぶ仕事や人生を発展させるヒントという副題がついてます。東京大学の西成教授の意見です。「…追い越し車線を走るほうが早いだろうと多くの運転手は考えますが、これも皆が早く行きたいと思って車線変更することで逆に追い越し車線が渋滞して走行車線の早くつけるということがわかっています。(ページ123) 「…例えば、サービスの向上と経営の合理化の両立に悩んでいた企業が、思い切ってあるサービスのレベルを落としてみたところ、消費者から何のクレームもこなかったということがありました。要するに、そのサービスは企業が勝手に必要だと思い込んでいただけであり、消費者が求めていたわけではなかったんです。そしてサービスのレベルを落とした分の資源をたの分野に振り向けることによって生産性を大きく向上させることができたのでした。…渋滞学の研究でもあえて残業や過剰サービスをやめたり減らしたりすることによって業績や生産性の向上につながることが科学的にも明らかになっています。 工場などで使われる機械設備も、できるだけ多くの生産物を作ろうと、稼働率100パーセントにしてしまいがちです。しかし長期的に見ると、それでは機械の調子が悪くなり生産性が下がります。100パーセントより、むしろ80パーセントの稼働でメンテナンスをしながら使うほうが利益が上がることが多いのです。それは人間も同じです。…ここまで見てきたように、「渋滞学」が教えてくれることは、仕事も人生も、短期的なズームインの視点だけではなく、長期的なズームアウトの視点でなければうまくいかないということです。…大学で教えてる学生達にも”今さえよければいい””ここさえよければいい””自分さえよければいい”という言葉は人生や仕事をだめにしてしまう”3つの戒め”だと教えています。」(ページ124)

渋滞学 (新潮選書)

渋滞学 (新潮選書)