死ぬこと以外かすり傷

「死ぬこと以外かすり傷」を読みました。洒落た題名です。時折、テレビで見かける幻冬社の箕輪氏の本です。若いのに、しっかりしたコメントをされる方です。彼、時代と寝てます。開き直りが、妙に心地よい。不思議な本です。読んでいて元気になりました。私が忘れてかけていた若いころのパワーが蘇ってきました。不覚にも、本気で仕事したいと決心してしまいました。アジるなあ!備忘します。

死ぬこと以外かすり傷

死ぬこと以外かすり傷

彼らはオンラインサロンで、お金を得るために働いていない。楽しいとか面白いとかいうやりがいのために働いている。 お金や物質を得るよりも、高次な欲望を満たすために働いていているのだ。若い世代はどれほど給料が高くてもやりたくない仕事をやらないが、楽しい仕事はお金を払ってでもやりたいという価値観を持っている。もはや遊びと仕事の区別はない。 ページ12
しかし僕の実力が20倍になったわけではない。僕がしたことは、無謀にも市場に出て行き、自分の腕1つで稼がなければならない状況に自分を追い込んだだけだ。しかし、その瞬間、それまでの檻の中で安寧に暮らしていた僕の意識が変わったのだ。自分で餌を探すことを覚え、狩りの仕方を取得したのだ。どんな小さなことでもいい、自分の手で、頭で、足で、名前で稼いでみろ。自分の値札を意識しなければ、一生飼われた豚のままだ。飢えた狼になれ。ページ55
スマホゲームで人生を消費するな。知っているということが、いずれ必ず武器になる。分断された世の中だからこそ、情報を浴び、知を獲得しろ。意識くらい、高く持て。ページ59
ぼくは幻冬舎ではブランドを稼いでいる。1時間50万円のコンサルでは金を稼いでいる。地方公演はノーギャラだが、未来を稼いでいる。地方に仲間を作ることは僕がこの先やることで重要な役割を果たすからだ。ページ75
お前はどれだけ覚悟を持っているのか。それだけを人は見ている。会社の看板など関係なく個人として生きているかを問われるのだ。ページ79
実力がある人間など世の中には掃いて捨てるほどいる。しかし、上位1パーセントの本物の天才以外は替えのきく存在だ。実力よりも評判、売り上げよりも伝説。極端に言えばそんなパンクな生き方をする人に大衆は見せられる。ページ83
そして気づいた。これって僕自身がインフルエンサーになれば最強なんじゃないだろうか。ものがあふれる時代。もはやものを選ぶこと自体に疲れる。自分が信頼する人のお勧めを選ぶようになるのは時代の必然だ。インフルエンサーの力はどんどん強くなるに決まってる。ページ88
しかし誤解を恐れずに言えば、これからのビジネスはほとんどが宗教化していると思っている。信者を集めることができなくてモノを売ることなんか出来ない。ページ95
時間があればいいというものではない。制約がイノベーションを生む。追い込む。だらだらと居心地の良いスピードで仕事していては、このようにあらざるものは作れない。スピードスピードスピード!だれも見えない速さで駆け抜けろ。ページ107
量量量!圧倒的な量を制圧して初めて見える世界がある。「ピカソは何で天才か分かるか?多作だからだ」と秋元康が言った。ページ109
企画の提案が来たり、それこそ飲み会や旅行の誘いでもいい。何か声がかかったときに、「やりたい」「行きたい」という言葉を禁句にする。そして「やります」「行きます」というようにするのだ。これだけで行動の量とスピードが飛躍的に上がる。ページ113
しかし、結局ひとつの道で頭角を現さないとどうしようもない。1つのこと突き詰めもせずつまみ食いしても、単なる器用貧乏になってしまう。結局軸足がどこにあるとかが問われる。ページ117
まずは何かに入れ込め。周りが引くくらい没入して、夢中になって、1点突破で突き抜けろ。ページ119
好きなことをやる、というのは重要だ。そこから逃げるな。しかし、そのために数字から逃げるな。金を稼げ。金を稼いでロマンを語れ。ページ147
努力は夢中には勝てないという方程式は、編集者に限らずすべての仕事に共通する。目の前のことにどれだけ夢中になれるか。熱狂できるか。夢中の前ではどんな戦略もノウハウも無力だ。ページ162
今ほど挑戦する人が楽しい時代はない。死ぬこと以外は、かすり傷と叫びながら、ただ狂え。ページ163
リスクなんてない。すべての成功も失敗も、人生を彩るイベントだ。未来は明るい。バカになって翔べ!ページ173

パシャッ!

「パシャッ!」を読みました。報道カメラマン、松本敏之氏の著書です。松本氏は私の高校の同級生です、先月のクラス会で本人から、いただきました。彼は、高校を出たあとフランスに留学、フリーカメラマンになりました。1983年、アキノ大統領暗殺の写真を撮って有名になったそうです。後に朝日新聞に入社、報道カメラマンとして定年まで在籍。現在は共同通信で現役を続けています。
本書の出版は1999年ですので、松本氏の約20年間の活動記録になっています。タイ民主化要求デモや湾岸戦争で死にかけたこと、韓国でも大けがをしています。阪神大震災の惨状、奥尻島津波オウム事件、ペルー日本大使館占拠事件など、記憶のどこかに残っている大騒動を思い出しました。松本氏曰く「クラスで唯一の高卒だ!」と威張っていました(笑)。備忘します。

パシャッ!―報道カメラマン日記

パシャッ!―報道カメラマン日記

…軍の指揮官に「なぜ不当に外国人を拘束するんだ」と現場から離脱したい一心で抗議した。とにかくフィルムを持って帰らなければ、苦労も水の泡だ。…指揮官に、パイナップルと残飯でドロドロになったシャツを見せ、「拘束されていたから一枚の写真も撮れなかったぞ。今から逮捕者を撮影させろ」と言うと、指揮官は疑わしい目から、一転して、兵士に「こいつをここからつまみ出せ!」と命令した。僕の作戦がちだ。撮影済のフィルムはパンツとソックス中だった。勝新太郎パンツの中にコカインを入れる。カメラマンはフィルムを入れる。笑いたくなるのをこらえて支局に急いだ。隠し撮りの写真は、夕刊一面に大きく載った。ページ52
…90年、杉並道場とかいう建物での麻原の記者会見の写真だった。麻原の右には当時無名だった上祐の姿もある。井上も写っている。ばかでかい玉座のような座布団の上に麻原の姿。オウム服の色は青。…井上の人を睨みつけるような凶悪なの顔が気になって、井上も一応撮影しといたことも思い出した。井上の写真も役に立った。 調べてみると…アップの顔写真で朝日新聞写真部にあるのは、僕の写真だけだった。僕はただデスクに命じられて、記者会見にいただけだったのだが。ページ90
アラファト議長の部屋に入ると議長が手を差し出した。大きな柔らかい、温かい手だった。早速インタビューを記者がする間に撮影。…会見と写真撮影が終わると、僕と記者を手招きする。いっしょに記念写真を撮ろうと言う。仕事の上でいろんな有名人を写す機会が多いが、記念写真を写そうと言われたのは初めてだ。僕の肩にまわされたアラファト議長の手を感じながら、カメラに収まった。ページ161
運、根、勘の3つの要素がカメラマンに必要だけれども、現代の報道カメラマンには危機管理能力も必要になってきた。1985年のことだった。当時の韓国は独裁色の強い全斗煥政権で毎日のように全国全土にデモが吹き荒れていた。…その夜、機動隊の眩しいばかりのサーチライトに照らされた学生デモ隊にに機動隊が催涙弾をぶち込み、私服警官隊はこん棒片手にデモ隊を襲った。私服警官数人がかりで殴られ、血まみれになった女子学生の姿をデモ隊の中に見た僕は、女子学生に近づき目測、ノーファインダーでストロボ一発。その数秒後には、僕自身が私服警官1ダースあまりに袋叩きにあっていた。カメラ、ストロボは壊され、体中を殴られたり蹴られたボロ雑巾のようになって車ですソウルに運ばれた。ページ227

センベイブラザーズのキセキ

「センベイブラザーズのキセキ」を読みました。面白い読み物です。潰れそうな零細企業(煎餅製造)がどのように再生したかの物語です。職人気質の弟とデザイナー上がりの兄が、亡き父の遺志をついで黒字化する努力に感服しました。ブランドを発信し、お客様の声を聞き、周りの様々な人の協力を得て、発展していく姿に事業家精神を感じました。勇気をもらいました。備忘します。

倒産寸前からの復活! センベイブラザーズのキセキ ~赤字を1年で黒字化 金、時間、経験なし 町工場の奮闘記~

倒産寸前からの復活! センベイブラザーズのキセキ ~赤字を1年で黒字化 金、時間、経験なし 町工場の奮闘記~

このロゴは、僕が20年やってきたデザインワークの中で、一番の作品だと思っている。…正直、ミススタンプすることも多々あった。ミスしないように、一つ一つ丁寧に押していく。そんなアナログならではの地道な作業として、よりロゴマークへの愛情が芽生え、そのことがブランド急成長の追い風になってくれた気がする。 ブランドも人も、ともに育っていく。そんな経験ができたのはデザイナー冥利に尽きる。ページ57
実際に自分たちでせんべいを販売してみると、いろんな用途要望があることを学んでいった。「お遣いもの文化」若いママさんたちは、まずは、自家用に2、3個、購入し、次の来店では、10数個まとめて買っていってくれる。そんなパターンが多く、商品を選ぶ際には「この前のお礼に」とか「誰それに持っていく」などと口にしながら選んでいく光景をよく目にした。ページ75
僕らにとって身震いするような言葉の数々に、11月の寒さなんか一気に吹き飛んだ。結果、お試しいただいた人の8割ぐらいかせんべいを買っていってくれた。目指せ、「脱・煎餅離れ」。ピンチをチャンスに変えた瞬間だ。そんな感じで始まった僕らの路上販売だったが、売り場で色んなことに気づくことができ、たくさんの学びを得た。商品開発から接客、お店づくりに至るまで、可能な限りの改善を行い、僕らは知的にもいろんな筋肉をつけていた。ページ92
そんな僕らのゲリラ的なコンセプトの発信効果は、その後の結果にも充分すぎるほどに表れていた。他の場所で催事をやっても、ルミネで覚えてくれた人が店頭で足を止め、商品に興味を持ってくれる。その後のメディアからの取材依頼のきっかけにも大きく影響した。僕らと同じような仕事をしている人たちにも、自分たちのやりたいことを明文化し、発信し続けることを強くお勧めしたい。ページ124
人も会社も、決して強くない。足りない部分を補ってくれる家族や仲間がいて、人も会社も初めて生きていける。僕ら兄弟もそうだ。お互いの弱いところは補い、強いところ最大限に後押しする。兄弟の放ち合う最大限のパワーが新しい活路を開いていく。ページ186
世の中には色んな職人さんがいると思うが、機会があればぜひ、現場にこもりきりでなく、外に出てほしいと思う。現場も大事だけど、外に出ることで、いろんなきっかけをもらえるし、あなたにしかできない技術力を発信できるかもしれないから。ページ202

3Mで学んだニューロマネジメント

「3Mで学んだニューロマネジメント」を読みました。尊敬する先輩からの推薦です。「…コンサルタントに役にたつかもしれません。…今度お会いするときに議論したくてメールしました」とのことでした。私がコンサルタントの仕事を始めたことを知り、アドバイスならびに生き方の指針を示してくれたのだと思います。
 脳科学イノベーションと経営コンサルティングに関連があるのか、疑問を抱きながら読み続けました。イノベーションの本質は技術革新ではなく「利用しうる色々な物や力の結合を変更して新しい結合を作ること」(ページ23)と定義すれば、経営改革そのものだと気づきました。会社の存在理由を明らかにすること、見える化(文書化)すること、規律を保つこと、自主性を重んじること、是正措置と予防措置の違いと両立を知ること、それぞれ腑に落ちる内容でした。
 生き方についても重要な示唆をいただきました。①「迷い」を解く鍵を知りました。 ・自分のDNAは生存競争勝ち抜いたDNAであるから生き残れるという「根拠なき自信」を与えてくれます。 ・人は必ず死ぬから、精一杯生きるために「勇気ある決断」を促します。 ・「役を演じる」ことにより、やりたいことではなく、やるべきことをやり、「自分を褒める」ことにつながります。 ②人間は起きている半分の時間、「過去」や「未来」のことを考えているとのこと(「マインドワンダリング」状態)。ストレスを減らすには「今」に集中することが大事で「マインドフルネス(瞑想)」が有効だそうです。現実をあるがままに知覚するトレーニングです。実行してみます。良書です、備忘します。

3Mで学んだニューロマネジメント

3Mで学んだニューロマネジメント

実は、イノベーションが生むお金には大きな特徴がある。それは「ありがとう」が添えられていることだ。イノベーションが大きな顧客価値を生み、顧客の事業発展させたり、商品やサービスの購入者がワクワクした気持ちなったりする。それに対する感謝の気持ちが「ありがとう」であり、その対価として知られるのがお金である。ページ29
NUDとは、「ニュー(新規であるか」、「ユニーク(唯一であるか)」「different(明確な差異があるか)」の頭文字をとった造語で、アイデアの価値独創性を評価する上で大きな手掛かりとなる。ページ 37
イノベーションのマネジメントにおいては現場の自主性を尊重するのが基本である。しかし、より高い視点に立つと、社員にイノベーションを促す強制力が必要となる。ページ40
ゆえに、このやる気を引き出すために最も重要なのは、「マネジメントを信じる心を育てる」ことなのである。逆から見れば「信じるに足るマネジメントを常に行う」ことだ。ページ57
やる気と自主性のある人材を育成するにはまず、そうした人材を重視するという経営層の意思を、誰にでも分かるように見える化(文書化)することが必要だ。ページ57
15パーセントカルチャーは、「上司に承認されなくとも、業務時間の15パーセントは会社の成長に貢献すると信じる活動に費やして良いという不文律」と簡潔に説明されている。ページ62
このやる気を引き出すために忘れてならないのは、当然ながら成果に対する評価である。最も分かりやすいのは、仕事で成果を上げれば出世できるという事実を示すことだ。それを信じることができれば、やる気が自然と出てくる。ページ66
顧客に密着するとはつまり、顧客の現場に赴き、共に暮らし、顧客に見えるものを見るということである。ページ78
名前を挙げるということは、確実にこのやる気を引き出すことにつながる。しかも費用はかからない。ページ94
どうすれば部員が腹落ちした状態を作り出せるのか。そのポイントは、部員の心を「〇〇しなければならない(マスト)」という状態から「〇〇したい(ウォント)」という状態に変えることだ。ページ107
とても実現できそうもない最終目標(背伸びした目標)であっても、そこに至るいくつかの中間目標設定し、それらをクリアしていくことで、段階的にentitlementの達成を目指す。ページ117
実際の取り組みは、今起きている問題の原因を特定した上で、それを取り除く「是正措置」と、それを一般化して問題発生のリスクを減らす「予防処置」に分けられる。前者が事後的な対応、つまり「守りの対応」であるのに対し、後者は事前的な「攻めの対応」といえる。いずれの対応でも大事なのは、根本原因を特定することだ。根本原因を特定できなければ有効な対策を立てられない。 そして根本原因の追求には、Whyの繰り返しが有効となる。さらに念頭におくべきことは、是正処置と予防処置も二者択一ではなく、両立させる計画を立てることだ。ページ198
もう一つ、心の支えとしてる言葉がある。それは筆者が研究室に所属していた当時、助教授だった梶山千里先生が話してくれたことだ。「破れ常識、超えよ限界」と「守れ常識、知れよ限界」である。ページ251
1番目の鍵は、我々ホモサピエンスは、誕生以来、約20万年間に及ぶ環境変化等の生存競争を乗り越えて生き残ったという事実である。荒波を生き抜いてきた先祖のDNAを、われわれは持っている。遠い先祖からつながる命のリレーにおいて、たった1人が欠けただけでも現在の自分は存在しない。つまり自分が持っているDNAは先人たちの努力によって生存競争勝ち抜いたDNAである。このDNAを受け継いでいるという自己認識は、やればできるという強固な「根拠なき自信」を支えてくれる。 2番目の鍵は、生きている時間は永遠には続かないという心理である。100年後には自分は存在していないという真理と何もせずに寿命を迎えるのは嫌だという自然な感情は、「勇気ある決断」をする際、背中を押す効果がある。 3番目の鍵は「役を演じる」という、プロフェッショナルとしての職業倫理である。たとえやりたくないことであっても、それが自分に求められた役割であるならば、やりたいことと同じ情熱を持って全力を尽くすのがプロである。顧客もしくは会社からもらったお金は、お客もしくは会社の満足に確実に返還しなければならない。この職業倫理は、やりたいことではなく、やるべきことをやるのが基本となる。 筆者この3つの迷いを解く鍵にそれぞれDNA、Life、Playとタイトルつけている。DNAは「根拠なき自信」に、Lifeは「勇気ある決断」に、Playは「自分を褒める」に展開できる。ページ259
具体的な行動規範としては、「善良である事」、「正直である事」、「偏見なく公平であること」、「忠実であること」、「正確であること」、「敬意を持つこと」の6つの柱がある。ページ341
…この「マインドワンダリング」状態は、生活時間の実に47パーセントにものぼった。これは人間に備わってる「記憶力」と「想像力」が原因となっている。つまり、日中起きている時間の半分近くは、目の前の現実について考えていない。 ページ428
「マインドワンダリング」から逃れて、今の行動に集中するには、「マインドフルネス(瞑想)」が有効なことがわかっている。「マインドフルネス」が目指すのは、今の瞬間に気づきが向かう状態である。つまり、現実をあるがままに知覚することである。簡単に言うと、意識を今この瞬間に釘付けするトレーニングだ。ページ429
しかしなぜ「今」に注意を集中すると、ストレスを減らすことができるのだろうか。それはストレスの原因となった過去の出来事にとらわれるとストレスが再生産されたり、未来に不安を感じてストレスが増幅したりするから。「今」に集中すると、そうしたことがなくなり、ストレスホルモンの過剰な分泌が抑えられる可能性があるという。ページ431
もし、自分の能力に限界を感じたら、それは深刻な悩みとなる。…意識して注意力を持って取り組み、あきらめずに繰り返す情熱があれば、何でも成し遂げられのだ。限界は打ち破れ。脳が健康であれば、年齢を重ねることはの活動のマイナス要因ではない。ページ438
脳の可塑性を広げる4項目を不変の真実として認識しよう。ただし、4つの可塑性は、いずれも絶え間ない自己研鑚が不可欠となる。すなわち、自身の能力に対する悩みを解く鍵は、絶え間ない自己研鑽なのである。ページ439

ホントにはじめての原価計算

「ホントにはじめての原価計算」をKindleで読みました。工場のコンサルティングの仕事をいただきましたので、念のために読んでみました。二年ほど前から日商簿記検定で「初級原価計算」の試験が始まったそうです。読んでみて、簿記三級より易しいと思います。二級の工業簿記は、仕訳が面倒だった記憶がありますが、初級原価計算は、仕訳が少なくて、かなり楽です。通読して、原価低減の私の提案がオーソドックスであることを確認できました。財務会計が不確かであれば、便法で管理会計の仕組みを作る方が現実的です。勉強になりました。備忘します。

 

 


原価計算は、作った製品の原価を算出することを目的とします。“原価”は製品 1個あたりの数値です。「販売価格-原価 =利益」ですので、会社としては原価がわからないと、販売したときに利益の金額がわかりません。

かかった原価を「仕掛品」という資産勘定の借方に積み上げていくわけです。非常に大切なことですのでもう一度言います。製造するためにかかった原価は「仕掛品」勘定に集めていきます。それまでいくらの原価がかかったのかは、「仕掛品」勘定で把握するわけです。

財務会計は外部に報告・開示するのが目的ですから、計算期間は事業年度です(通常は 1年間です)。一方工業簿記・原価計算は企業内部でのデータ把握も目的ですから、 1ヶ月を計算単位とすることが多いです。

製造原価は「材料費」「労務費」「経費」の 3つに分けられます。この 3つ、とりあえず今ここで覚えてください。これら 3つの概念は工業簿記・原価計算の基本中の基本となります。

製造原価は「材料費」「労務費」「経費」の 3種類に分けられる。そしてそれらはそれぞれ「製造直接費」と「製造間接費」に分けられる。よって製造原価は「直接材料費」「間接材料費」「直接労務費」「間接労務費」「直接経費」「間接経費」の 6種類に分けられることになる。

製造原価は操業度(工場の稼働時間など)との関連で、変動費と固定費に分けられる(販売費・一般管理費も何らかの操業度に応じて変動費と固定費とに分けられます)。

消費金額はどのように把握されるのかというと消費数量 ×消費単価で算出されます。つまり、材料の消費金額を算出するためには、消費された材料の数量と、消費された材料の単価の 2つを算出する必要があります。

継続記録法は、材料の受入と払出のつど、材料元帳にその数量を記録する方法です。一方、棚卸計算法は材料の受入のときのみ材料元帳にその数量を記録する方法です。

材料の単価を算定するには、主に先入先出法と平均法があります。

直接工の賃金がすべて直接労務費になるわけではなく、直接作業時間以外の時間分は間接労務費です。たとえば、毎朝の機械稼働前の準備待機時間や仕事場の清掃時間にかかった分の賃金は間接労務費です。

経費とは、例を挙げると、水道光熱費、修繕費、電話代(通信費)、棚卸減耗費、外注加工費、工場の機械設備の減価償却費などです。

総合原価計算というのは、このようにまずは「製品数十個・数百個分の材料を投入し、それに同一内容の加工を次々としていく」というイメージを持っていただきたいわけです。

原価( Cost)、営業量( Volume)、利益( Profit)それぞれの頭文字をとって CVP分析と呼ばれています。これは「この原価であれば、どれくらいの販売数量があれば、どれくらいの利益となるのか」といったような分析です。

この売上高直線と総原価直線が交わる点は、売上高と総原価が等しいので、儲けになるか、損になるかの分かれ目の点です。この交点よりも売上高が小さければ損失ですし、大きければ利益(儲け)です。この交点を損益分岐点(そんえきぶんきてん)といいます。

損益分岐点では貢献利益の金額と固定費の金額が等しいので製品単位当たり貢献利益 ×損益分岐点販売数量 =固定費
損益分岐点売上高 =(固定費 ×販売単価) ÷製品単位当たり貢献利益

 

ホモ・デウス

「ホモ・デウス」を読みました。「ファクトフルネス」で打ち砕かれ、本書でとどめを刺されました。これまでの世界の見方を変えなければいけません。ホモ・サピエンス(人類)はこれまで不死と至福と神のような力の獲得を目指す道をたどっていましたが、論理的な帰結としてホモ・デウス(超人、神のような力を持つホモ・サピエンス)になると予測しています。ホモ・サピエンスが今の家畜やサルの立場になるということです。詳細な解説に圧倒されました。資本主義は宗教に近く、民主制も人間至上主義もただの虚構にすぎないことが分かりました。世界はただの共同幻想であるということです。さらに、生物は「アルゴリズム」であり、生命は「データ処理」であるという科学者の通説も納得できました。現代の政治、経済、文化もこの視点で考え直すと恐ろしい未来が見えます。ビッグデータ、AIの急速な発展の帰結です。民主制、人間至上主義が脅かされています。ただし、まだ解明されていない「意識」がホモ・デウスの出現をさまたげるかもしれません。それにしても、数十年後には今とは全く違う世界になると理解しました。

種々の生命科学によれば、幸福と悲しみはそれぞれ、様々な身体的感覚同士の異なるバランス以外の何者でもないという。私たちは外の世界に反応することは決してなく、自分の体内の感覚に反応しているだけだ。上ページ50
エピクロスはおよそ2300百年前、快楽を過度に追求すればおそらく幸せではなく惨めになるだろうと、弟子たちに警告した。その2世紀ほど前、ブッダはそれを輪をかけて過激な主張をし、快楽の追求は実は苦しみのもとに他ならないと説いた。ページ57
率直に言って、心と意識について科学にわかっていることは驚くほど少ない。意識は脳内の電気化学的反応によって生み出され、心的経験は何かしら不可欠なデータ処理機能を果たしているというのが現在の通説だ。とはいえ、脳内の生化学的反応と電流の寄せ集めが、どのようにして苦痛や怒りや愛情の主観的経験を生み出すかは、誰にも全く想像がつかない。上ページ137
今日、人間は地球を完全に支配しているが、それは個々の人間が個々のチンパンジーや狼よりもはるかに利口だったり手先が器用だったりするからではなく、ホモサピエンスが大勢で柔軟に協力できる地球上で唯一の種だからだ。上ページ165
革命を起こすには、数だけでは絶対に足りない。革命は大抵、一般大衆ではなく運動家の小さなネットワークによって始まる。もし革命を起こしたければ、「どれだけの人数の人が私の考えを支持してるか?」と自問してはならない。その代わりに、「私の支持者のうちには、効果的に共同できるものがどれだけいるか?」と問うといい。上ページ167
貨幣が共同主観的現実であることを受け入れるのは比較的易しい。大抵の人は、古代ギリシャの哲学や神々や邪悪な帝国や異国の文化の価値観が想像の中にしか存在しないことも喜んで認める。ところが、自分たちの神や、自分たちの国や、自分たちの価値観がただの虚構であることは受け入れたがらない。なぜなら、これらのものは私たちの人生に意味を与えてくれるからだ。上ページ181
北朝鮮と韓国があれほど異なるのは、ピョンヤンの人がソウルの人とは違う遺伝子を持っているからでもなければ、北の方が寒くて山が多いからでもない。北朝鮮が、非常に異なる虚構に支配されているからだ。上ページ189
このように書字のおかげで、人間は社会を丸ごとアルゴリズムの形で組織できるようになった。情動とは何かや脳はどう機能するかを理解しようとしたときに、私たちは「アルゴリズム」という言葉に出会い、計算をしたり、問題を解決したり、決定を下したりするのに使える一連の順序だったステップと定義した。上ページ199 虚構は悪くはない。不可欠だ。お金や国家や協力などについて、広く受け入れられている物語がなければ、複雑な人間社会は1つとして機能し得ない。上ページ218
おそらくほとんどの資本主義者は、宗教というレッテルを嫌うだろうが、資本主義は宗教と呼ばれても決して恥ずかしくはない。天上の理想の世界を約束するほかの宗教とは違い、資本主義はこの地上での奇跡を約束し、その上それを実現させることさえある。下ページ19
人間至上主義はこのように、経験を通して無知から啓蒙へと続く、内なる変化の斬新的な過程として人生をとらえる。人間至上主義の人生における最高の目的は、多種多様な知的経験や情動的経験や身体的経験を通じて知識を目一杯深めることだ。下ページ54
本書は、21世紀には人間は不死と至福と神聖を獲得しようとするだろうと予測ことから始まった。この予測はとりわけ独創的でもなければ、先見の明のあるものでもない。それはただ、自由主義的な人間至上主義の伝統的な理想を反映してるにすぎない。人間至上主義は人間の命と情動と欲望を長らく神聖視してきたので、人間至上主義の文明が人間の寿命と幸福と力を最大化しようとしたところで、驚くまでもない。下ページ100
経験する自己と物語る自己は、完全に別個の存在ではなく、緊密に絡み合っている。物語る自己は、重要な原材料として私たちの経験を使って物語を創造する。するとそうした物語や、経験する自己が実際に何を感じるかを決める。下ページ123
ここまでは、自由主義に対する3つの実際的な脅威のうち、2つを見てきた。その第一は人間が完全完全に価値を失うこと 、第二が人間は集団として見た場合には依然として貴重ではあるが、個人としての権威を失い、代わりに、外部のアルゴリズムに管理されることだ。…自由主義に対する第三の脅威は、一部の人は絶対不可欠でしかも解読不能のままであり続けるものの、彼らが、アップグレードされた人間の、少数の特権エリート階級になることだ。下ページ183
もし科学的な発見とテクノロジーの発展が人類を、大量の無用な人間と少数のアップグレードされた超人エリート層に分割したなら、あるいは、もし権限が人間から知能の高いアルゴリズムの手にそっくり移ったなら、その時には自由主義は崩壊する。下ページ888
政治学者たちも、人間の政治制度を次第にデータ処理システムとして解釈するようになってきている。資本主義や共産主義と同じで、民主主義と独裁制も本質的には、競合する情報収集・分析メカニズムだ。下ページ216
20年前、日本人旅行者は万人の笑い草になっていた。いつもカメラを構えて目にしたもの全て写真に撮っていたからだ。だが、今では誰もが同じことをしている。インドに行ってゾウを目にしたら、ゾウを眺めて、「私は何を感じているか?」と自問したりしない。スマートフォンを出してゾウの写真を撮り、Facebookに投稿し、その後は自分のアカウントを2分おきにチェックして「いいね!」をどれだけ獲得したかを見るのに忙しいからだ。下ページ232
データ至上主義が世界を征服することに成功したら、私たち人間はどうなるのか? 最初は、データ至上主義は、人間至上主義に基づく健康と幸福と力の追求を加速させるだろう。 人間至上主義のこうした願望の充足を約束することによって、データ至上主義が広まる。不死と至福と神のような創造の力を得るためには、人間の脳の容量を遥かに超えた、途方もない量のデータを処理しなければならない。だから、アルゴリズムが私たちに代わってそれをしてくれる。ところが、人間からアルゴリズムへと権限がいったん移ってしまえば、人間至上主義のプロジェクトは意味を失うかもしれない。ページ243
1 科学は1つの包括的な教義に収斂しつつある。それは、生き物は、アルゴリズムであり、生命はデータ処理であるという教義だ。
2 知能は意識から分離しつつある。
3 意識を持たないものの高度な知能を備えたアルゴリズムが間もなく、私たちが自分自身を知るよりもよく私たちのことを知るようになるかもしれない。
この3つの動きは次の3つの重要な問いを提起する。
1 生き物は本当にありがとアルゴリズムすぎないのか? そして生命は、ほんとうにデータ処理に過ぎないのか?
2 知能と意識のどちらの方が価値があるのか?
3 意識は持たないものの高度な知識を備えたアルゴリズムが、私たちが自分自身を知るよりもよく私たちのことを知るようになったとき、社会や政治や日常生活はどうなるのか?
下ページ 246

トップポイント2019年2月号

「トップポイント2019年2月号」を読みました。取り上げている本は「FEAR恐怖の男」「BCGが読む経営の論点2019」「決定版cyber security」「ギグ・エコノミー襲来」「最強のポジティブチーム」「サバイバル決断力」「アンガーマネージメント実践講座」「市場サイクルを極める」「日本の少子化100年の迷走」「縮み志向の日本人」が取り上げられています。この中で購入に至ったのは「ギグ・エコノミー襲来」のみでした。本書については、購入しましたので読後に詳しく書きますが、アメリカのプロジェクト制やフリーエージェント制、あるいはライフシフトの考え方を総合した内容であると予想しております。 「ギグ」とは、「期間が不確かな臨時の仕事」のことで、インデペンデント・ワーク(独立した仕事)を支えるビジネスの仕組みのことです。米国では今、約4,000万人がフリーランサーとして働いているようで、総額1兆1千万ドルを稼いでいるそうです。
他に興味を持った本は「BCGが読む経営の論点2019」です。 BCGとはボストンコンサルティンググループの略です。今後の経営を考える上でも向き合うべき論点を指摘しています。【AI】実務に活用するためのポイント述べています。 【ブロックチェーン】。 【アジャイル】商品開発などを俊敏に行うための方法で、チームメンバー全員が専任として従事する仕組み。一言で言うとアジャイルというのは、走りながら考えるということです。急速な環境変化に対応力が高いやり方で短いサイクルで修正を繰り返すため変化に対応しやすいということです。 【モビリティ】自動車産業では今後、自動運転、シェアリング、電動化による革命が起きるとのことです。
「日本の少子化100年の迷走」人口減の原因が、戦後の優生保護法の改正にあったと言っていますが、そうではなくて経済の発展だと私は思います。

ギグ・エコノミー襲来 新しい市場・人材・ビジネスモデル

ギグ・エコノミー襲来 新しい市場・人材・ビジネスモデル

  • 作者: マリオン・マクガバン,斉藤裕一
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  • 発売日: 2018/11/01
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