乳と卵

芥川賞受賞作品「乳と卵」を読みました。アメックスの会報誌に紹介記事があり、そのなかで大阪で水商売をしていた異色歌手兼作家ということで大変興味深く思っていました。さすが直木賞ではなく芥川賞、テーマが重いのと幾重にも解釈できる力作だと感じました。「響きと怒り」の構造を持ち、野坂氏並の長いセンテンスと大阪弁で感情の流れを巧みに表現しています。

私の父が事業に失敗したのち、母が大黒柱で働き続けている姿を子供ごごろにみていました。緑子の切ない思いはリアリティがあります。思わず、死んだ母を思い出しました。頭と体力が充実しているときに一読をお勧めします。

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