まあだだよ

黒沢明監督の「まあだだよ」観ました。随筆家、 内田百けんのはなしです。監督最後の作品にふさわしい映画でした。方丈の家の画面構成、最後の夕焼けの画面構成(音楽も)など、黒沢監督らしい、上品な出来上がりでした。香川京子さん、美しく、可憐で、抑え気味の名演でした。もちろん主役の松村達夫、脇役の井川比佐志も熱演です。所ジョージはいまいちという感じです。心温まる佳作です。「60歳のときにじじいだと思っていたが喜寿の歳になって、あの頃はまだガキだったと思う、今、本当のじじいになりました」という意味の台詞がありました。思い起こせば私もそうです。私も温かい人に囲まれて晩年を迎えたいと切に思いました。

 「まあだだよ」という題名は、なかなか死にそうにない先生に「まあだかい?」と訊ね、先生が「まあだだよ!」と応えるところからきています。先生の夢のなかで、ゆっくりと暗くなってゆく最後のシーンが人生の終末を暗示して感動的でした。

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