20歳のときに知っておきたかったこと

「20歳のときに知っておきたかったこと」(ティナシーリグ著 阪急コミュニケーションズ刊)を読みました。今年読んだ本ではいちばんよい本です。感動しました。

著者はスタンフォード大学の女性教授で、起業家精神を教えているそうです。副題に「スタンフォード大学集中講義」とありました。

豊富な事例、適切なエピソード、適度な要約に感嘆しました。すんなりと腹に落ちる感じで一気呵成に読了しました。

彼女が言いたいことを短い時間で理解できました。「常識を疑う許可、世の中を新鮮な目で見る許可、実験する許可、失敗する許可、自分自身で進路を描く許可、そして自分自身の限界を試す許可をあなた自身に与えてください」「不確実性こそ人生の本質であり、チャンスの源泉だ」とのことです。私はわかりました!

大いに反省する機会にもなりました。慢心する自分、めげそうになる自分を元の場所に戻すことができました。自分自身への許可が足りなくなっていることを痛感しました。自分に許可を与えることは起業家としてばかりではなく、人間として大切なことです。起業家精神を知りたかったのに、生きることの意味を考えることになりました。早速影響を受けて尊敬している池田信夫氏の勉強会に参加することにしました。踏み出さないと何も変わらないことをこの本に教えられましたので。

余計なことですが、本をたくさん読むことや、買ったことを自慢している人をたまに見掛けます。そういう人に限って、読んだ本が生きていません。知っていることは重要ではなく、行動に影響がでたり、意識が変わったりしてはじめて読む意味があると思います。ちなみに私は楽しいから読んでいるので自慢はしません。ブログに書いているのは将来の自分に読ませるためです(忘れてしまうことが多すぎる)。そういうことで、備忘します。

20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義

20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義

  • 作者: ティナ・シーリグ,Tina Seelig,高遠裕子
  • 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
  • 発売日: 2010/03/10
  • メディア: ハードカバー
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…まず必要なのは、問題は必ず解決できる、という気概を持つことです。…問題と格闘した経験が積み重なっていけば、必ず解決策が見っかると目信が持てるようになるものです。p.42

…アイデアには、「良い」か「悪い」かしかないと思いがちですが、そうした思いこみを取り払ってくれます。…どんなアイデア、どんな状況にも何がしかの価値があることを示してくれているのです。p.53

…ほとんどのルールは、ある世界で最低限守るべきものとして作られていて……快適な場所から踏み出すことを恐れないで。不可能なことなどないと呑んでかかって、月並みな考えをひっくり返してください。…経験を積めば積むほど、選択肢の幅は、自分が思っていたよりもはるかに広いことがわかるはずです。p.68

…そのうち、人間は二つのタイプに分かれることがわかってきました。自分のやりたいことを誰かに許可されるのを待っている人たちと、自分自身で許可する人たちです。…机にばかりかじりついていないで、たまには顔をあげ、窓の外を眺めましょう。p.72

…自分ができることはこれだ、と固定的なイメージを持っている人は、そのイメージが揺らぐようなリスクを取ろうとはしません。これに対して、できることを増やしていこう、という成長志向の人は、自分の掲げた目標を達成するために、リスクを取ることも厭わず、精力的に動こうとする傾向があります。新しいことに積極的に挑戦し、自分の可能性を伸ばします。そうすることで、まったく新しい分野か拓けてくるのです。p.79

…成功している人は、自分自身を成功に導く道を見つけ出しているのです。何か秘訣があるわけではないし、密約があるわけでもないし、魔法があるわけでもありません。…共通しているのは、そのときどきのトレンドに目を向け、自分のスキルを活かして、影響力を強化している点です。

…リーダーになろうと思ったら、リーダーとしての役割を引き受けることです。ただ自分に許可を与えればいいのです。…慎重に様子を見るのではなく、チャンスはつかみに行くのです。がむしゃらに働かなければならないし、エネルギーも使います。意欲も必要です。でも、これこそがリーダーをリーダーたらしめている資質であり、指示待ちの一般人とは違っているところなのです。p.86

…成功する見込みの低いプロジェクトは容赦なく中止して、成功する確率が高いプロジェクトに精力を注いでいるのです。…いつか突破口が見つかると期待してやり続けるのか、それとも見切りをつけるのかを見極めるのは、とても難しいものです。…では、どうすればやめるべき時がわかるのでしょうか。…「心の声に耳を傾け、選択肢を検討しなさい」。…引き際をきれいにするのは、後々、その影響が自分に巡ってくるというだけでなく、人としてやるべきことなのです。p.101

…失敗したからといって自分が失敗したわけではない。あるいは成功したときですら、自分の成功ではない。会社や製品は失敗することがあっても、自分が失敗者なのではない。失敗は学習のプロセスにつきものなのだということを肝に銘じておいてください。…失敗していないとすれば、それは十分なリスクを取っていないからかもしれません。p.118

…自分の生活やキャリアは頻繁に点検することが大切です。こうした自己評価によって、卓越するには新しい環境に移るべきだという事実を受け入れられるようになります。ほとんどの人は、自分の役割を頻繁に点検せず、おなじポジションにとどまり過ぎて、最適とはいえない状況に甘んじています。p.134

…よき観察者であり、開かれた心を持ち、人あたりがよく、楽観的な人、幸運を呼び込みます。…扉はたくさんあり、その向こうには驚くほどのチャンスがあります。その扉を開けようとしさえすればいいのです。p.147

…いちばんの教えが、お礼状の大切さであることはいまも変わりません。あなたのために何かしてくれた人に対して感謝の気持ちを示すかどうかで、あなたの印象は大きく変わります。…お礼状は書いて当たり前で、書かないのはよほどの例外だと思ってください。残念ながら、実際にそうしている人は少ないので、マメにお礼状を書けば目立つこと請け合いです。p.162

…それだけ世間は狭いのですから、怒りにまかせて、取り返しのつかないことはしないのが鉄則です。どうしても好きになれない人もいるでしょうし、自分もまた誰からも好かれるわけではないのですが、だからといって敵をつくることはありません。p.163

…誰でも問違いは犯します。蹟くのも人生の一部です。…自分が失敗したと認めることは、大いに役立ちます。長々と言い訳する必要はありません。ただ、「うまくできませんでした。申し訳ありません」と言えばいいのです。謝罪は早いほどいいのです。ぐずぐずしていると、痛手が大きくなります。p.167

…交渉を効果的に進めるには、自分自身の最終目標と同様、交渉相手の目標も理解するように努め、ウイン・ウィンの結果を模索し、いつ交渉の席を立つべさかを知っておくことです。p.171

…人助けも大切な習慣です。…わたしはただ、「大丈大ですか?何かできることはありますか?」と言って欲しかっただけなのです。いまなら、こんなにシンプルな言葉でいいのだとわかります。それがわかるのに、こんなに時問がかかったなんて、我ながらあきれます。p.178

…誰かが負けるからこそ自分が勝てる、という考え方は、非生産的以外の何ものでもないと気づきました。世の中では、ほぼすべてのことがチーム単位で進められています。…組織内で地位が上がるほど、個入としての貢献は重要でなくなります。その代わりに、下の人たちを引っ張り、奮い立たたせ、やる気を引き出すことが役目になります。…このため、他人と協調できなければ、実行力は限られてきます。…さらに偉大なリーダーは、各人が長所を活かせる方法を見つけ出しています。p.179

…自分で自分の首を絞める場合もあります。最大の要因は、多くの責任を背負い過ぎてしまうことです。無理をすると、いずれ収拾がつかなくなります。…そのときどきで三つの優先順位を決める方法があります。…大多数の人間が遂行できるのは一度に三つまでであることを発見しました。p.183

…光り輝くとは、いつでも期待以上のことをすると決意することです。裏返せば、期待される最低限のことしかしないのは、その機会を自分で台無しにしていることになります。…人は、するべき努力をしなかったという事実を繕うために言い訳をします。…自分自身には言い訳をしてはなりません。本気で何かをしたいのなら、すべては自分にかかっているという事実を受け入れなければなりません。p.194

…起業家として成功するには、闘争心を燃やすよりも、やる気に燃えた方がはるかに生産的です。…限界をとっ払い、持てるカを遺憾なく発揮しようとするところから始まります。及第点に満足せず、自分の行動とその結果の責任は、最終的に自分にあることを自覚することです。人生にリハーサルはありません。べストを尽くすチャンスは一度しかないのです。p.203

…私が伝えたかったのは常識を疑う許可、世の中を新鮮な目で見る許可、実験する許可、失敗する許可、自分自身で進路を描く許可、そして自分自身の限界を試す許可をあなた自身に与えてください、p.206

…父は人生を振り返って、いちばん大切な教えをこう考えているそうです 「自分に対しては真面目すぎず、他人に対しては厳しすぎないこと」。…過ちを犯しても、大地が揺らぐことなど滅多にないのだと。

…成功は甘美だけれど、移ろいやすいものであることも父が教えてくれました。…だから、自分自身をいまの地位と結びつけて考えてはいけないし、周りの評価も鵜呑みにしてはいけません。…時機が来たら、主役を譲る覚悟がなければいけません。自分が会社をやめても、会社は回っていきます。取り替えのきかない存在ではないのです。

…当時、遠い将来が見通せず、不確実なことだらけで、不安でしかたありませんでした。25年後のいま、わたしは将来を違う風に見ています。不確実性こそ人生の本質であり、チャンスの源泉だと。…不確実性こそが、イノべーションを爆発させる火花であり、わたしたちを引っ張ってくれるエンジンなのだと。p.215