使える経済書100冊

「使える経済書100冊」(NHK出版)を読みました。分量の割に内容が濃くて読み終えるのに時間がかかりました。各章のはじめに簡単な意見を述べています、これが結構おもしろい、「日本語だけでは重要な情報を得られない…辞書なんか引かないで、ざっと読んで意味を把握する読み方を習得する必要がある…」などと、さりげなく勉強の方法を教えてくれます。100冊の書評は池田氏のひととなりが出ています。はじめて読んだ「ウェブは資本主義を超える」での印象は「激しいひとだなあ」でしたが、直接セミナーをお聞きしていると「教養の高い、温和な紳士」だということが分かりました。ビジネスマンが最低読んでおかなければいけない書籍を簡潔に紹介した良書だと思います。マンキューの教科書の「10大原則」(p.212)を知らないで経済・経営を論じていた自分を恥じます。備忘します。


読書で大事なのは、読書量でも時間でもなく、その効率である。…目的を明確にし、それに必要な本の必要な部分だけを読めばよい(p.25)

…ひとつの企業が勝ち続けることは難しく、偶然の影響が大きくなるが、経営者は成功は自分の手柄で失敗は不運だと思いがちだ。(p.28)

(今回の世界経済危機)…最大の打撃を受け、立ち直りがもっとも遅いのは、資本主義の機能していない日本である。(p.32)

ブラックスワン 今まで見た白鳥がすべて白くても、あす黒い白鳥が現れる可能性は排除できない(p.33)

「資本主義は嫌いですか」 バブルの原因として彼が指摘しているのは、ファンドマネージャーの報酬が非対称だということだ。(p.38)

金融危機に対応する決定的な条件は、流動性を十分供給して銀行の連鎖倒産と取り付けを避けることであり、財政支出にはほとんど意味はない。(p.45)

「アニマルスピリット」 …アニマルスピリットが不足することが不況の続く原因だという。(p.47)

「市場を創る」「ビューティフルマインド」 映画…はアカデミー作品賞を受賞した。(p.56)

「まぐれ」

…日本企業の効率を上げるには…「新しいファイナンシャル・キャピタリスト」によって思い切ったリストラを行う必要がある。(p.65)

経済学、とくに消費者行動の理論は、本来は心理学の領域である。「限界効用が逓減する」などという事実は実証もされてないし…(p.68)

実験経済学でも、人々の行動のほとんどは積極的な選択の結果ではなく、習慣によって自動的に決まることが確かめられている。(p.70)

むしろ90年代の教訓としてもっとも重大なのは、銀行監督行政の失敗だろう。(p.75)

グローバル化は職を奪うのではなく、比較優位の部門への労働移動をうながすのだ。(p.81)

イノベーションのジレンマ

…(カンパニー制など)分権システムは、企業が成熟して開発投資が少なく、オペレーションの効率性が重要な産業(食品・流通など)には適しているが、ソニーのような研究開発型の企業には向いていない。(p.121)

「超ガラパゴス戦略」

…日本のサービス業は技術の消費者として最悪だ。その原因は、経営者が古いビジネスモデルにこだわることだ。(p.130)

…こういう資本主義の嫌いな経営者たちが「鎖国」状態でぬくぬくしているおかげで、損をしているのは国民だ。(p.139)

「さらば財務省

だから少子化を止める根本的な対策は、労働者を定年までひとつの会社にしばりつける雇用環境を変えて、転勤の必要を減らすことだ。(p.148)

官僚中心でサービス業を軽視する「士農工商」の経済秩序を打破しない限り、日本経済に未来は開けそうにない。(p.156)

「日本の安心はなぜ、消えたのか」「コルナイ・ヤーノシュ自伝」 …福祉国家が財政的に破綻する危機も迫っていると警告し、官僚統制による温情主義を批判する。(p.187)

…人間は個体保存のために利己的に行動する本能をもつ一方、それが集団を破壊しないように過度な利己心を抑制する感情が埋め込まれているのだと考えられる。(p.195)

北一輝」「敗北を抱きしめて」「マンキュー入門経済学」「戦略的思考の技術」

不況になると「景気対策」を際限なく要求する。このような裁量的なマクロ政策は市場の機能をゆがめて経済の効率を低下させる。(p.227)

国富論」「資本論」「資本主義・社会主義・民主主義」