デザインイノべーション

「デザインイノべーション」(ハルトムット・エストリンガー著 朔泳社刊)を読みました。良書です。iPadのプロトタイプが1983年に著者の手で作られていました(写真あり)。

岩男さん、ごめんなさい。デザインを甘く見ていました。この本を読んで、デザイン戦略はイノベーション(経営革新)のためだと理解しました。デザインの善し悪しにより、売上も利益も社員のモチベーションも大きく変わることを理解しました。デザインも含めた「ブランド形成」がこれからの大きな目標です。早速、自社施設のデザイン変更を指示しました。以下、備忘します。

デザインイノベーション デザイン戦略の次の一手

デザインイノベーション デザイン戦略の次の一手


デザインとは優れたビジネス戦略の一部であって、芸術ではない。…自己陶酔型の芸術家のひらめきでは、持続可能なビジネスモデルは築けない。( p . 1 1 )

リスクの精査は必要だとしても、あえて危険に挑むような戦略…でなければ、変化する経済の中で勝つことはできない。…創造性を戦略的にビジネスに取り入れるためには、デザインがその手段となる。(p.17)

真にプロフエッショナルなデザイナーは…ビジネスと金と権力の結びつきを知り、そのうえでビジネスパートナーと同じ目標を実現するため、創造的な能力を発揮しようとするものだ。( p . 28 )

…だから倫理を重んじることは、リーダーの基本的な責任であ、いかなる企業の創造的な戦略においても、欠かせない要素となる。( p . 33 )

…ビジョンにもとづいたイノべーションより、ひたすら「数字」を追求するだけの会社が多いことは、わたしもこれまでの経験で知っている。しかしわたしが知るかぎり、そういう会社は長期的な成功を収めてはいない。長期的な成功のためにはリーダーに、戦略的なビジョンと従業員や社会につかえようとする倫理観と、新しい道を切り開く勇気と夢を現実にする能力が必要だ。( p . 45 )

勝てる戦略とは、その企業のオーナーシップと実権を持つ人間の価値観や信念にもとづくということだ。( p . 53 )

ビジネスで勝っためには、創造的な従業員管理や、全体をまとめるビジョンとリーダーシップや目標を成し遂げようとする組織全体の勇気と忠誠心が必要だ。勝利は、知識とチャンスによってもたらされる。( p . 59 )

イノべーション主導のビジネスモデルを目指すビジネスリーダーには、戦略的なデザナーをパートナーに持っことが欠かせない。( p . 81 )

イノべーション企業には、共通する特徴がある。それは財務的に健全で、むだがないいうことと、リーダーが好奇心旺盛で、絶対にあきらめない人間だということ(これが一番肝心)だ。( p . 84 )

…「トライバル(民族的)に考え、そしてグローバルになる」ことが必要だ。( p . 159 )

カスタマーはもはやマーケティングの「操作の対象」ではなく、ビジネスの強力なパートナーだ。だから、これからは、デザインのプロセスに消費者を参加させなくてはならない。( p . i94 )

ブランドの定義とは、商品とその商品のもたらす体験(エクスペリエンス) とによって決まる。エクスペリエンスに魅カがなかったら、ブランドの価値はゼロだ。…中小の企業がブランドカを築くには、ユニークな才能を持ち、会社に忠実な人間を育てなければいけない。つまり、ブランドの戦略目標を理解していて、会社に誇りを持ち、顧客に豊かなエクスペリエンスを提供したいと思っている人間だ。( p . 229 )