モチベーション3.0

「モチベーション3.0−持続するやる気!をいかに引き出すか」(ダニエル・ピンク著 大前研一訳 講談社刊)を読みました。原題は「Drive」です。かなり常識を覆されました。「アメとムチ」だけではうまく行かない実例がたくさん書いてあります。要するに、人間は「目標」(人生の意義に沿った)を決め、「自律性」(自由に好きなように仕事する)を大切にし、苦痛を乗り越えて努力を続けると「熟達」の域に達し、「幸せ」になれる。組織の持続的な発展のためには、そういう環境を提供することが重要なことであると述べています。

個人的に言えば、私は30年間ほとんど、「モチベーション3.0」の環境で仕事をしてきました。揶揄やあからさまな非難もありましたが、時時の上司、先輩が守ってくれました。これからの私の使命は「モチベーション3.0」の環境を作り出すことかもしれません。備忘します。

モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか

モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか


…金銭的な報酬を約束した場合と、コカインやニコチン、アンフェタミンを摂取した場合では、人間の脳を観察すると、気味が悪いほどそっくりな反応をみせる。(p.89)

四半期のガイダンスに多くの時間を費やす企業は、それほど頻繁にガイダンスを行わない企業と比べて、長期的な成長率がきわめて低い傾向にある。(p.91)

当然ながら、まずは基本的な報酬ラインが適切で、公平でなくてはいけない。これが健全でなければ、どんな種類の動機付けも難しくなり、不可能となる。(p.95)

従業員はパートナーなのです。パートナーなら、誰も皆自律的に自分の人生を管理する必要がある。(p.123)

…230の中小企業を調査したところ、その半数は従業員に自律を認め、残りの半数はトップダウンの指示に頼っていた。管理志向の強い後者と比べて、前者は平均4倍の成長率を示し、離職者数にいたっては3分の1だった。(p.132)

…残念ながら、現代の職場でもっとも顕著な特徴は、社員のエンゲージメント(関与)の欠如とマスタリー(熟達)への無関心かもしれない。(p.161)

もっとも満足できる経験とは、「フローの状態」のときだった。…フローが体験できない職場は従業員の満足度においても組織の健全性においても、高い代償を払わなくてはならない。(p.168)

…かつては天賦の才だと思われていた多くの資質が、実は少なくとも10年間の厳しい訓練の結果であると判明した。(p.179)

企業が予算の一部を慈善事業費に割り当て、その費用を各従業員に再分配することにより、従業員の感情的な満足度を上げられる。すなわち、従業員にはそれぞれが選択した慈善団体に寄付を納めるようにしてもらう。(p.201)

…健全な社会、および健全な企業組織は、まず目的ありきなのである。そして、利益を目的達成の方法、または目的達成のうれしい副産物とみなす。(p.205)