エコ・テロリズム

エコ・テロリズム」(浜野喬士著 洋泉社刊)を読みました。労作です。読み終えて哲学の学徒だと言うことを知り、得心しました。「反捕鯨」に対する私自身の漠然とした違和感を読み解いてくれました。エコ・テロリズムは、米国の「自由と民主主義」建国の思想に根を持つことを理解しました。本書は日本のエコロジストの必読書(入門書)になる予感がします。東洋人としてマフィアと間違えられないよう「エコ」思想の源流と歴史的経緯を知りることは必須でしょう。尚、著者のこころの痛みに深く共感します。備忘します。


…「正義」には二つの源泉が存在する…第一にはには、実定法を超えた、見えざる良心、こころのなかにある「陪審」に自分たちのよりどころを求める…(第二は)自分たちはIWCの決議を実施に移すための「警察力」に過ぎない…(p.24)

…支援者には少なからぬ有名人が含まれている。資金提供者としては…(p.59)

…動物については気遣ってるふりをしながら、こういうやり方で誰かを襲撃するような輩が存在することに、私は憤りを覚える。これは全くの偽善であり、また卑劣な行いだ。(p.86)

…この虚脱はアムチトカ以後にも世界が存在するという単純な事実に対する脱力的なおののき、そしてどこかで到来を望んでいた「終末」が霧散したことに起因するのである。(p.145)

…「惑星的正義」の極端なバージョンは、人間に生まれたことに対する、階級的な羞恥心ならぬ、「類的羞恥心」とでもいうべき観念を惹起する。ここに人間の脱中心化は、積極的に「罰」という観念を帯びてくる…(p.157)

…環境問題をめぐる対立は三つ巴となる。まず第一に反環境主義者…第二に環境保全を任務とする連邦機関…第三にラディカル環境運動グループである…(p.196)

エコ・テロリズム―過激化する環境運動とアメリカの内なるテロ (新書y)

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