キズナのマーケティング

キズナマーケティング」(池田紀行著 アスキー新書刊)を読みました。熱のこもった良い本です。ソーシャルメディア(twiitterやブログやmixi)の活用方法を論じた本ですが、マーケッティングの教科書としても使えるのではないかと思いました。とにかく内容が論理的に構成されているので、すっきりとしていて解りやすい、重要なことは何度も書いてくれているので、見逃すことがありません。親切な方です。「ブログもtwitterも知っているだけではダメで、実際に書いたり、利用したりして初めてわかることがある」全く同感です。やってみれば、twitterで短期的に商品が売れることはないとういことはすぐにわかります。dellが650万ドル売ったと聞いて色めきだっても、普通は不可能なことにすぐ気づきます。自社の再設計のために、読んでみました。本書のおかげで、ひとつ「抜け洩れ」を防止できました。備忘します。


成長を前提としてきた戦後のマーケティング戦略は、いまや完全に制度疲労を興している。いまだに昔のマーケティングパラダイムで成長戦略や競争戦略を描いても、うまくいくはずがない。(p.59)

ソーシャルメディアを使えば、魅力的ではない商品やサービスを、魅力的に「魅せる」ことができると思っているのだ。でも、残念ながら、そんんあ魔法はない。(p.70)

商品開発の世界美は、「売れる商品」を説明する理論として、「C/Pバランス理論」というものがある。商品を構成する要素は、「買う前に欲しいと思わせる力(C)」と「買って良かった、次も買いたいと思わせる力(P)」からなっており…このCとPがともに良くないと「売れ続ける商品」にはならない。(p.71)

(ソーシャルメディアの)情報はコントロールできないし、嘘はつけない。(p.75)

ソーシャルメディアマーケッティングに取り組めば、低コストで顧客とコミュニケーションがとれるようになるため、広告宣伝費を圧縮することができる…残念ながら間違いである。…現在の広告活動を代替するものではない。(p.80)

短期的な話題化を目的としたバズ・バイラル型と違って、アドボカシー型の目的は、消費者との中長期的な関係性を強めること。これは「エンゲージメント」という言葉で表されていることも多い。本書では「キズナ」と表現している。(p.96)

…企業と消費者の間の「キズナ」を構成する要素には、「信用」「理解」「ロイヤリティ」「関与」「共感」などがある。(p.124)

戦略PRは、広告効果を押し上げる(広告を補完する)ものなのだ。最後に自社商品を「買ってもらう」ためには…やっぱり広告が必要なのである(p.159)

プランニングはPOSTプロセスで考える…具体的には1.Pople 2.Objective 3.Strategy 4.Technology をそれぞれに明確に設定していくことで…戦略が明快になっていく。(p.180)