まんがで読破 五輪書

「まんがで読破 五輪書」(宮本武蔵作 イーストプレス刊)を読みました。以前に原文と訳文で1万円近くの本を買った覚えがあるのですが、通読する前に誰かに貸してしまいました。通読は初めてです。五輪書には、「地之巻」「水之巻」「火之巻」「風之巻」「空之巻」があり、それぞれの巻で剣術の極意が述べられていました。心構えあり、心理学あり、実践論ありです。剣の方構え方や握り方にも言及しています。抹香くさい人生論ではありませんでした。「声に出して読みたい日本語」では詳細に書かれていた「千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を錬とす。能々吟味有るべきもの也。」の部分は、あっさりと書かれていました。空の巻に自分が極めた境地は「空」であると言い表しているそうです。「空」は知り尽くしてからでないとたどり着けない境地である。何も考えないことは「空」ではなく、心の迷いに他ならず、悩みで空虚になったのも「空」の境地ではない。正しい「空」とは「己のすべてに少しもくもりがなくなり、一切の迷いの雲が晴れ渡ったときこそ…」とありました。異論はあるでしょうが、このような難解な書を、ざっと通読できる時代に感謝します。

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