花まんま

「花まんま」(朱川湊人著 文藝春秋社刊)を読みました。直木賞、受賞作品です。久々に少年の頃の心の痛みを思い出しました。物語の中のような貧しい街と友達がいっぱい心に浮かびました。私は東品川の三業地で育ちました。荒い気性の人の住む労働者の街です。二号さんの娘やら、ヤクザの息子やらも皆、友達でした。当時の大人の隠れた笑いや心配事を重ね合わせてタイムスリップしてしまいました。

「凍蝶」が出色でした。可愛がってくれた東北出身のお姉さんたちが、売春をしていることを教えられたときの衝撃は今でも忘れられません。その彼女たちに軽蔑のまなざしを与えた自分の幼さを恥じます。当時は社会全体が貧しく、好きでやってる人なんてめったにいなかっただろうに…


花まんま

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