日本の恐ろしい真実

「日本の恐ろしい真実」(辛坊治郎著 角川SS刊)を読みました。部下からの推薦です。非常に読みやすい本で、文章の表現、図の使用、文字の色使いで理解しやすい仕上がりになっています。内容そのものはよく知っていることが多く、驚きはありませんでしたが、本当にわかりやすいので、大変参考になりました。さすが、テレビで総合司会をするジャーナリストです。池田信夫先生の辛辣さはありません。「深い憂い」「諦観」「怒り」を感じました。「デフレの正体」は高齢化を全ての原因にしていましたが、本書は政治や国民にも原因を求めています。私が今年学んだことがほぼ網羅されており、納得がいきました。良書です。備忘します。


…2000年に比べて…日本の格差はデータ上明確に縮小している…日本においては…高所得層の収入が下がった、これが日本で起きている真実なのだ…(p.14)

…5年半の小泉政権の間に、日経平均株価は最安値から2倍以上になり、失業率は5.5%から3%台へ改善した。…国の借金も…対GDP比で減少に向かうという奇蹟を成し遂げた。(p.19)

…現在の日本国債の安定消化を支える3つの神話が、いかに脆弱であるかが見えてくる…「まだ、大丈夫」と市場参加者が思っているからだ。つまり、誰かが「もう危ない」と思い始めた瞬間に、すべての歯車が狂い始めるのだ。(p.58)

政治とは何か?「国民からの集めた税金を、何に使うか決めるプロセスである…」(p.60)

…現在の日本において、この若者と高齢者の間に存在する格差ほどひどい格差はない。…この格差を真剣に考えない限り、日本に明日はない。(p.79)

普天間移転問題)…日本政府と、地元自治体と、アメリカ政府の意思の一致は奇跡的だった。…鳩山氏は総理引退後…「なぜ…発言がブレたのか」…「毎日同じ答えでは失礼だと思い…」人が良いだけでは政治家はつとまらない。(p.123)

…しかし、地理的に…遠い中国政府は、(ハイチ)地震発生から15時間後に救援チームの派遣を発表し、その2時間後には北京空港を飛び立って、日本政府が「調査チームの派遣発表」をしているときには、救援部隊がハイチでがれきを取り除く作業をはじめていたのだ。(p.142)

…他の負担を低いままにして、たばこを吸う少数の人だけに、社会保障全体の費用負担を押しつけようとする発想は危険だと思う。みんなで使う金はみんなで負担する。この当たり前の前提が崩れた社会は必ず荒む。個人的にはたぼこ1000円は大賛成だ。しかし、その発想の底流にある、「ヤな感じ」の正体の見極めが必要だ。(p.160)

アイパッド」の中身はほとんどが韓国製と台湾製で、日本製品は影も形もなかったのだ。3年前に発売された「アイフォーン」は…実質的に中身はほぼ日本製だった。しかし、わずか3年という歳月が「下請けでモノを作る日本」を「下請けにすらなれない日本」に変えてしまったのだ。(p.181)

今、日本は世界のどの国も経験したことのない超高齢化時代に突入している。…この現状を救う切り札は消費税しかない。(p.187)

…断言しよう。日本の法人税率に引き上げの余地はない。(p.188)

…安定した年金収入のある人々が続々と地方に移り住むのはどうだろうか。このまま過疎と少子高齢化がすすめば、ほどなく日本の村の大半が消滅する。…過疎地においては、60代といえば、完全に「若手」の範疇だ。(p.197)