なぜ、はたらくのか

「なぜ、はたらくのか」(加藤寿賀著 主婦の友社刊)を読みました。良書です。今年の4月94歳で亡くなった方のお説教集です。副題は「94歳・女性理容師の遺言」です。関東大震災、太平洋戦争の経験は想像を超えています。読みながら、自分の生きてきた時代の穏やかさに深く感謝できました。「戦争はいけない」という彼女の主張、心の底から了解しました。帯に「うるさいバアさんの説教がたまに聞きたくなるんだよね」(ビートたけし)とありました。備忘します。


なぜ、はたらくのか―94歳・女性理容師の遺言

なぜ、はたらくのか―94歳・女性理容師の遺言


今の世の中悪い悪いって言いますけど、戦争に比べたら小さいこと。だって、不景気だからって、弾は飛んできませんから。(p.61)

時代は変わっても、女には慎みと身だしなみっていう大切なものがあります。それを踏み越えてはいけません。着るモノでも、することでも。(p.87)

人さまのためになるには、自分を犠牲にしなくてはいけません。自分を犠牲にしないと人さまのためにはならないでしょう。(p.92)

「感謝」感謝がなければ人間として生きていく価値はない。本当にそう思います。(p.106)

若い人たちに言いたい。絶対に親より先に死んではいけないと。病気や事故だって死ぬほどつらい。ましてや、自ら命を絶つなんて決して許されない。(p.120)

雨が続いたら雨もよし、風が吹いたら風もよし。…そうやって「明日は明日の風が吹く」と運を天にお任せしてしまえば、後はなんとかなります。(p.133)

聞きたくない言葉を聞いたら、心の中で十数える。…すぐに思いついた言葉をださない。「売り言葉に買い言葉」をしないということを学びました。(p.138)

寝るときは、寝ることだけを考えて寝なさい。仕事をするときは仕事のことだけ考えなさい。集中するだけで、時間を生かして使うことができる。それが時間を大切にするコツなのです。(p.143)

…「こんなつらいことなんかない、人生おしまいだ」って何度もくじけそうになりました。逃げ出したくなりました。けれど「生かされているだけありがたい」と感謝の気持ちを常に持ち、自分のできることをしっかりやって、後は運を天に任せていれば、たいていのことは乗り切れるから不思議です。94歳のバアさんが言うんですから間違いありません(p.183)