希望のつくり方

「希望のつくり方」(玄田有史著 岩波新書刊)を読みました。「希望」といえば、即、パンドラの箱を連想しました。この本を読んで、最後に残ったエピルスについて考え方が変わりました。これまでは単純に「最後に希望が出て来たので人間は絶望しないで生きる事が出来る」と考えていましたが、もしかしたら「偽りの希望で、絶望する事もできず、空虚な期待を抱きながら生きなければならない」という意味だったか!とも思いました。書中に「絶望の反対語はユーモア」という記述もあり、混乱して読みすすめました。答えを自分で考えなければならない良書です。迷っている方におすすめの良書です。私も「人生、まんざらじゃない」と言える日を待っています。備忘します。


希望のつくり方 (岩波新書)

希望のつくり方 (岩波新書)


第1章 希望とは何か

第2章 希望はなぜ失われたか

第3章 希望という物語

第4章 希望を取り戻せ


厳しい状況にある人にアドバイスをするというのは、本当にむずかしいです。でも希望がもてるようになるためには、できるだけ正確な情報を示そうとすることが、まずは大事です。(p.14)

希望は持つべきか、持たざるべきか、ではありません。困難が連続する社会の中で生き抜くために、どうしても求めてしまうもの。それが、希望なのです。(p.25)

…どうすればもっとよい将来をもたらすことができるかを考え、ときに思い悩みながら、試行錯誤を続ける。そこから希望は生まれるのです。(p.39)

Hope is a Wish for Something to Come True by Action.(p.37)

今、希望が持てないとか、みつからないという人がいるとすれば、「気持ち」「何か」「実現」「行動」の4本柱のうち、どれかがまだみつかってないのかもしれませんね。(p.39)

Hope is a Wish for Something to Come True by Action Each Other.(p.48)

…自分と異なる情報を持っている人とのゆるやかなつながりが、転職を成功させる条件として重要だというのです。この自分と違う環境にある人との、たまに会う程度のゆるやかなつながりが、ウィーク・タイズです。…ウィーク・タイズの有効性は確実に高まりつつあります。…同窓会はまぎれもなくウィーク・タイズの一つです(p.87)

…希望の多くは失望に終わります。希望は文字通りまれにしかかなわない望みです。失望や挫折を避けたいならば、希望なんて持たない方がいいという人もいるでしょう。(p.106)

「希望の多くは失望に変わる。しかし希望の修正を重ねることで、やりがいに出会える」これが、希望の物語性についての第一の発見です。(p.107)

…過去の挫折経験を語れる人ほど、未来の中の希望を語ることができるようだ…(p.112)

挫折の歴史から目をそむけることなく、そこから進むべき道を学習し、新たな希望を育もうとすること。そんな釜石市の経験から、挫折からいまだ抜け出せない日本社会全体が学ぶことはたくさんあります。(p.122)

…努力が無駄になることを厭わない人の方が、実現見通しのある希望を持つという傾向は、はっきりとあらわれたのです。(p.126)

…将来がまったく見えないとき、人は希望を失います。同時に、将来が見えてしまったと感じるときにも、やはり希望は失われるのです。(p.147)

地域の再生を語るとき、「よそ者、若者、バカ者」が大切といわれたりします。(p.186)

…報われない努力などする意味がないと考え、誰も何もしなくなった社会に、希望はありません。(p.192)

「結局、希望には遊びが一番大事だと思うんです。」(p.207)