猿は猿、魚は魚、人は人

「猿は猿、魚は魚、人は人」(江口克彦著 講談社刊)を読みました。松下幸之助さんの言行録であり、解説書であります。平易な内容ですが、たいへん参考になりました。社長になって約10年、普通に陥る失敗は全部したようです。読んでいるうちに「これは自分のことだ!」と落ち込むことが何度もありました。「本読みになるな」は痛い。気づいていましたが、まさにその通りです。行動変容が起きない読書は経営者にとっては害毒以外のなにものでもありません。なぜか、芭蕉の「行く春や鳥啼き魚の目は涙」を思い出しました。 備忘します。


猿は猿、魚は魚、人は人 松下幸之助が私につぶやいた30の言葉 (講談社BIZ)

猿は猿、魚は魚、人は人 松下幸之助が私につぶやいた30の言葉 (講談社BIZ)


経営が厳しいときに、社長が心がけなければならないことは、できるだけ社内を回り、社員一人一人に声をかけることである。(p.15)

…話を聞くとき、松下さんは「その話は前に聞いた」とか「それは私の考えていることと同じだ」という対応を、ただの一度もしたことはなかった。(p.23)

…「猿は猿、魚は魚、人は人」というものがある。「猿は下等で、人間は上等」という発想をするのはおかしい。…比べられるものではない−(p.40)

小声で話をしないとか、予定を明らかにするといったことは、社長が隠し事をせず、秘密を持たないことを意味する。これが経営には非常に大事である。(p.46)

信頼されるトップになるためには、叱り方のコツだけではなく、社員に詫びる用意もなければならない。(p.66)

…とにかく社長が自分で考えた具体的な提案を必ず交えて、叱るなら叱る、注意するなら注意することが肝要なのだ。(p.68)

…方針とは「基本理念+具体的目標+最終目標」である。トップがこの三要素を打ち出さねば、社員たちは…不平ばかりを言って、やる気を起こさず、ろくに結果を出すことはできない。(p.77)

…他人の商売を真似をしても成功するものではない。商売の理論を知り、いろいろな人のやり方を参考にして、結局は、自分で、自分に合ったやり方を体得しなければならない。(p.91)

…経営者は「ムダの削減」と「非効率の排除」に常に取り組み、対処していかなければならない。…しかし、「ムダの削減」と「非効率の排除」をしているだけでは、会社はけっして伸びていかない。加えて…「新しい事業への挑戦」と「新しい商品への挑戦」である。(p.107)

経営でも、会社に「夢」がなければ、そこで働く社員が「自制しよう」などと考えることはない。(p.124)

適切な目標を示し、社員に希望を与えない経営者は失格である。(p.133)

…すなわち、松下幸之助さんが気にかけていたのは「売り上げ」「利益」「資金」「在庫」だけだったのである。(p.164)

…社員が立ち往生するような問題を最終的に処理するのが社長の役割だ。(p.181)

社長が矢玉を浴び傷を負う覚悟で先頭に立てば、会社は必ず危機から脱し、成長を遂げることができる。(p.188)

年月が経ってもその要諦は変わらない。「人間大事」である。(p.211)