FoLeを読む


毎月、みずほ総合研究所雑誌「FoLe」に目を通します。今月号では2つの記事に感心をもちました。ひとつは、日本のなかのニッポン「士族社長の倒産パーティ」(ロバートキャンベル)の項、明治の人で「前田円」の事績についてです。予約出版業で成功した後、事業に失敗、乞食同然の生活から、書家として再起した話です。「士族の素養と使命感をもって一流の人材とのネットワークを養い、一方で国際的な視野を広げる。一度倒れてからは恬淡として過去にしがみつかず、のんびりと食い扶持を稼いでいたかと思うと、やがて個人として鮮やかに世に返り咲く。」(p.15) なかなかよい生き方です。それにしても「前田円」という人を今まで全く知らなかったことを恥じています。

もうひとつは、目からウロコの論語「君子は人を上手に使う」(安田登)の項の「器」についての論述です。論語に「君子は器ならず」という言葉があるのは知っていましたが、普通「あの人は器量がある」「器が大きい」と良い意味で使っています。「…器とはひとつの用途に限定される道具のことだ。…人間でいえば、一つのことしかできない人のことを器という…」(p.36) もちろん私自身は「君子」でも無く、「小人」(普通の人)だと思っています。せめて「器」になりたいなあ。