たましいの場所

サルビアの花」早川義夫さんのエッセイ集です。「スミスの本棚」で知りました。iTunesからアルバム「言う者は知らず、知る者は言わず」も購入し、曲を聞きながら読み終えました。中学生の頃、早川義夫さんに憧れていました。今思えば、音楽も詩も何もわからないのに「からっぽの世界」にかっこよさを感じていました。年下の私が言うのも変ですが、優しく、切なく、著者の素直な気持ち、溢れる本でした。冒頭から私の感覚を代弁してくれて嬉しくなりました。

この歳になってはじめてわかったことなのだが、変わったのは、見ためだけであり、考え方、感じ方は、何一つ変わっていない。成長もなければ退化もない。常識とか体裁などをいっさい気にしなければ、頭の中、心の中は、誰もが中学生であり。18歳であるのだ。(p.14)
ものを作る人は才能があるかも知れない。しかし、才能の分だけ、きっと何か駄目な部分がある。それをそばにいる人が注意してあげなければいけない。…(p.35)

アルバムの中では「父さんへの手紙」が一番の好みです。亡くなった父親への鎮魂歌です。90歳の私の父に会いに行きたくなりました。亡くなった母のお墓参りにも行かなければ…。

ねえ父さん
もっと打ち解けて しみじみと語り合いたかった
ねえ父さん
また母さんと 一緒に花火を見ようね

「言う者は知らず、知る者は言わず」は小林秀雄の言葉だそうです。早速、講演CDを注文しました。

たましいの場所

たましいの場所