異形の日本人

「異形の日本人」を読みました。差別をキーワードにした6話のオムニバスです。第1話は、昭和27年、「一年中裸で木登り、鹿児島にターザン姉妹」という新聞記事の事後検証です。「悼む人」を思い出しました。第2話はマンガ「血だるま剣法」が封印された顛末記です。第3話は、やり投げアスリート、当時の日本記録保持者の波乱の人生軌跡です。これが一番面白い話です。溝口和洋、五輪選手でありながら、バチプロに転身したり、室伏のコーチをしたり、栄光と挫折、奇行と精進が混在する異形の人の話です。第4話は筋萎縮症の女性に対するわいせつ裁判の話です。担当医が病気の患者にわいせつ行為をした始末記です。第5話はストリッパー、第6話は落語家初代春団治のめちゃくちゃな人生軌跡です。
著者はきっと優しい人だと思います。

異形の日本人 (新潮新書)

異形の日本人 (新潮新書)