働かないアリに意義がある

「働かないアリに意義がある」を読みました。大変面白い本です、良書です。ハチやアリなどの「真社会性生物」の研究の成果が書かれています。生物学者は、一見、無用な研究をしているようですが、鋭い社会分析をします。「お利口な個体ばかりがいるより、ある程度バカな個体がいる方が組織としてうまくいく…」(p.46)「…なんと、働かないものがいるシステムのほうが、コロニーは平均して長い時間存続する…」(p.74)「あまり強いチーター(裏切り者、利己生物)が出現すると地域集団全体を滅ぼしてしまうため、そうではないチーターが生き残っていく…」(p.122)「…ある生物がどのくらい未来の適応度に反応して進化しているのかはまったくわかっていない…」(p.178)などなど、実に示唆的な分析をしてくれています。要約すると本書も「強い者は生き残れない」と警告しています。
さりげなく「綾波レイ言うところの私が死んでも代わりはいるもの…」とありました。エヴァンゲリヲンのファンの私は痺れてしまいました。

働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)

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