ウナギ大回遊の謎

「ウナギ大回遊の謎」を読みました。うなぎの産卵場所を見つけるという究極の謎を追いかけた科学者たちの夢と冒険の記録です。面白い、実に面白い本です。一見、何の役に立つ研究なの?と思いますが、さにあらず、ドラマチックな展開で、有用、無用の議論を飛び越えています。一流のエンターテイメントになってます。
今年の土用の日、うなぎ専門店のお重は3800円でした。大好物のうなぎ価格高騰を嘆きました。その原因は? シラスウナギの不漁は中国の乱獲のせいだ! などなど、そこで、この本です。きっと不漁の原因を明らかにしてくれるだろうと期待して読みました。備忘します。

ウナギ 大回遊の謎 (PHPサイエンス・ワールド新書)

ウナギ 大回遊の謎 (PHPサイエンス・ワールド新書)

…(琵琶湖の)大アユ、小アユは交代している…このアユの論文を1986年、米国で…発表した。発表が終わったとたん、質問ぜめにあった。…実は、この発表前に、ほぼ同じ内容で日本の学会でも発表したが、ほとんど評価されなかった。定説の壁は厚く…しかし世界は受け入れてくれた。(P.34)
ウナギもまたレプトセファルスという名の仔魚になる。ウナギが仔魚期に産卵場から陸の淡水域までを回遊するのを助けるのが、このレプトセファルスのもつ形態と生理だ。(p.52)
…(ウナギは)必ずしも…河川遡上するとは限らず、そのまま河口に居残ったり、沿岸へ帰ったりする個体も数多くいる…(p.65)
…プレレプトセファルスの発見の成果は…英誌「ネイチャー」に投稿された。2006年…(海山の近くでウナギが産卵)と題して発表されたこの論文の反響は大きく…(p.162)
…天然ウナギを食べず、養殖もので我慢していただきたい。(p.222)
全国的にウナギを漁業権の対象魚種から外すことも一考に値する。…義務放流の必要がなくなる。…ウナギの義務放流の場合は…外来種混入問題である。(p.223)