ヤノマミ

「ヤノマミ」を読みました。アマゾンの奥地の原住民保護区ワトリキで暮らすヤノマミ族との150日間の記録です。「ヤノマミ」とは人間という意味です。「ヤノマミ」はモンゴロイドで、顔つきは私たちによく似ています。つい最近まで石器時代を過ごしていたヤノマミの生き方に触れ驚くとともに重大なヒントを得ました。
尚、本書はNHKドキュメンタリー番組の書籍版です。番組は2009年にNHKで放映、劇場版としてDVDでも発売されているそうです。

ヤノマミ

ヤノマミ

働くことについて、ヤノマミの考えは「…彼らは腹が空かないかぎり狩りには行かない。好きな時に眠り、腹が減ったら狩りに行く。起きて、食べて、出して、食料がなければ森に入り、十分に足りていれば眠り続ける。(p.51)」ということです。「今日を精一杯生きる」ことを忘れていないかと反省しました。
ヤノマミの森の摂理にしたがった生き方、「定め」を受け入れ肯定する生き方、生死の捉え方に納得しました。森を食い森に食われる輪廻の思想です。仏教に通じるものがあるように思いました。「…ワトリキには、ただ生と死だけがあった。善悪や倫理や文明や法律や掟を越えた、むき出しの生と死だけがあった。一万年にわたって営々と続いてきた、生と死だけがあった(p.181)」
女たちは森に消えて出産します。厳しい環境は全ての嬰児を養えません。「暗い顔をしたローリは子どもの背中に右足を乗せ、両手で首を絞め始めた…(p.218)」儀式ははじまり死んだ子どもは白蟻の巣の中で喰われたのちに燃やされます。
男女の関係、セックスは、日本人と変わらないと思いました。キリスト教文化から言えば不謹慎かもしれませんが、日本では古来から夜這いの風習もあり、乱交は社会を破壊しないことがよく理解できました。
ヤノマミ族は遠からず文明に飲み込まれて消滅することを示唆して本は終わります。最長老のシャーマンシャポリ・パタが叫んだ言葉が象徴的です。「…何度も何度もこう叫んでいた、私の精霊がいなくなってしまった! 私の精霊が死んでしまった!(p.273)」
昨日、DVDを注文しました。この本はIさんに進呈します。