最新型ウィルスでがんを滅ぼす

「最新型ウィルスでがんを滅ぼす」を読みました。日曜の産経新聞1面にこの本の紹介記事が載っていましたので早速購入、読了。
がん治療に、手術、化学療法、放射線以外の選択肢があることをはじめて知りました。正常細胞との差を見つけて叩くという原則通りの方法ですが、ウイルスにがん細胞を食わせるというのは、なかなかユニークな方法です。特に脳腫瘍の治療に有効だそうです。著者は東大教授にして、治療用新型ウイルスG47Δ(デルタ)の発明者です。もしかしたら米国でベンチャー企業と組んだほうが、日本に帰国して悪戦苦闘するより製品化スピードが早いかもしれません。まあ、よくも日本に帰ってきてくれました。国や製薬企業の協力が得られることを心より祈願します。尚、本書では、この新型ウィルスの治験経過、結果について言及を控えているようです。備忘します。

最新型ウイルスでがんを滅ぼす (文春新書)

最新型ウイルスでがんを滅ぼす (文春新書)

…17年間にわたってウィルス療法の研究を続けてきました。そして、これまで完治する見込みのなかった悪性脳腫瘍に効果が期待できる治療用ウィルスの開発に成功し「G47Δ」と名付けました。(p.18)
ウィルス療法とは、増殖するウィルスを使ってがんを治す画期的な治療法です。通常のウィルスは、がん細胞だけではなく正常な細胞も攻撃してしまうのですが、ウィルス療法で用いるウィルスは、がん細胞だけを殺して、正常な細胞は傷つけないように改変されているのです。(p.76)
…2009年11月から、東大付属病院でG47Δを用いた世界初の臨床研究が開始されました。(p.174)
G47Δならば、…がんの多様性に対応することが、将来的にはできるようになるはずです。(p.206)