町の忘れもの

「町の忘れもの」を読みました。この本は主に子供の頃の東京付近の名残を文章と写真で綴っています。失われたもの、忘れられた風景などノスタルジーに浸れます。文章は達者で、写真は秀逸です。歌手?なぎら健壱さんの本です。フォークソング全盛の頃から名前は存じ上げていますが、何を歌っていたかは忘れました。先月まで毎日見ていた「梅ちゃん先生」に診療代を払えない海苔業者の役で出てました。著者は私より二つ上の昭和27年、東京、東銀座の生まれです。品川生まれの私は、写真も話もわかりすぎて、涙が出そうになりました。。久しぶりに亡くなった母を思い出しました。備忘します。

町の忘れもの (ちくま新書)

町の忘れもの (ちくま新書)

デパートのお出かけは嬉しかった。…なんといっても大食堂での食事であった。…そして、屋上での遊びも楽しかった。…今考えると他愛もない物ばかりなのだが、子供の頃には妙に楽しかった。( p.103)
…ここだけの話ですけどね、あたしは若い頃、この番台に一度でいいから上がってみたかった。そして女湯を…(p.214)
愛玉子(アイギョクシ)は台湾固有の植物であり、台湾では屋台などで売られているポピュラーな食べ物だという。…上野桜木にあるこの店、昭和9年というから相当な歴史がある。(p.238)
  テレビ番組のロケで、東横線沿線の綱島へ行った。…都心からさほど離れていないこの場所に温泉街があったとは、しかも全盛期には7、80軒の温泉宿があったというから驚きである。…温泉街そのものが消えてしまった、ということに対しての驚きなのである。( p.235)