若者はなぜ決められないか

「若者はなぜ決められないか」を読みました。今年初めてのブログにふさわしい本です。若者だけでなく、中年も、老人も決められない人のオンパレードです。私もそうです、この本の著者、長山氏もそうです。フリーターのことを考えながら自分のことを考えていました。10年ほどまえの本ですが、正当な分析です。著者の問題提起は今でも有効で…全く解決されていません。また、若者に同情は禁物です、自分自身にも同情は禁物です。自らの力でしか未来は開けないことを再確認しました。備忘します。

若者はなぜ「決められない」か (ちくま新書)

若者はなぜ「決められない」か (ちくま新書)

…あなたが困っているときに、あなたが望むような援助の手をさしのべてくれなかったとしても、「信じていたのに」という言葉だけは、発してはならない。もしその言葉が出かかったら、あなたは今の自分が、信じていた相手に、そんな新じられないことをせざるを得ないような負担をかけているのだと自覚するべきだ。(p.032)
…ある意味でフリーター型労働は、日本のように低所得者に対する福祉を敷き、高額所得者には各種の累進課税を課している国家制度に対する賢い対抗手段でもある。もちろん、フリーター層が増大し続ければ、今までのような社会保障制度そのものが成り立たなくなるのだが。(p.043)
…定年退職後の元サラリーマンになると「会社は冷たい」発現率は、ますます高まるらしい…退職後の人生は、不満と愚痴と、せいぜいかつての自慢話だけになってしまうのかもしれない。(p.054)
…フリーターには大きく分けて二つのタイプがある。ひとつは「決められないフリーター」であり、もうひとつは「決めつけるフリーター」である。(p.080)
「時間がない」「協力が得られない」という弱音は、「才能がない」「努力が足りない」ことの告白と同義だ。何かを真剣に目指すならば、その言葉を口にしてはいけないのではなかろうか。(p.088)
…大学卒業後も働かずにいられる若者は、より豊かな階層に属する人として、労働に従事する同世代の人間よりも「上」であるかのように振る舞い得る。…自意識の中では、卒業後ただちに生業に就いた者より、自分を「上」だと漠然と考えているのかもしれない。(p.111)
ネットに向かいながら、私は自分と同じ好み、同じ価値観、同じ思考回路を持った人々とのみ交信し、異なる価値観を持った人々と苦労してコミュニケーションを持つことを一切しなくなっている自分に気がついた。(p.189)
…若者が持っているものを、近代社会は「可能性」と称したが、可能性には幅があって、よくなれる可能性と同じくらい悪くなる可能性もあるのだ。いや、デフレ経済下では設備投資は減少し、新規雇用もマイナス圧力に曝されるので、没落の可能性のほうが高いと思われる。(p.205)
自分にあった職業を選ぶにあたって、いちばん大切なのは「仕事」の情報ではなく、自分自身の情報を把握することだと思う。それも学校の成績とks体格のデータではなく、自分の欲望、自分の本当の赤裸々な欲望の把握である。(p.212)