本当の経済の話をしよう

「本当の経済の話をしよう」を読みました。良書です。300ページ、約1時間半で読了。対話形式でわりやすく書かれています。長年私が抱えていた幾つかの経済学の疑問が氷解しました。例えば、理解したはずのリカードの比較優位論をもう一度理解しなおしました。交易は両国に便益をもたらすとの論です。つい中国の「得」は日本の「損」と考えてしまいがちですが、そうではありません。納得しました。年金、TPP、デフレなど快刀乱麻で説明しています。日銀がお金を刷れば、デフレも円高も解決するという説明だけは理解できませんでしたが…。備忘します。

本当の経済の話をしよう (ちくま新書)

本当の経済の話をしよう (ちくま新書)

経済学とは何か…「様々な用途を持つ希少性のある資源と目的とのあいだの関係としての人間の行動を研究する科学」(p.012)
…経済学を理解するためのヒントって、絞りに絞ると実は四つくらいしかないんだよね。「インセンティブ」「トレード・オフ」「トレード」「マネー」がその四つだ。(p.016)
…反原発の人たちは「経済成長を諦めてでも原発は廃止するべきだ」という謎の反論をしてくることが多い…経済成長を止めることが人を殺すんだということがわかっていない。(p.086)
…福祉法人も酷い。…設備投資がほとんど補助金で賄える上に相続税もない。要するに、他人のお金で建てたものが自分のものになる…(p.102)
経済成長の原動力は、究極的には「新しいこと」を実現していくことなんだ。新しい製品、サービス、新しい方法の発明、ちょっとした工夫や改善、そして新しい知識…(p.119)
TPPに反対する理由は)輸入が全面停止する。…とにかく輸出は善で輸入は悪、「出すけど入れない」という考え方。…農業への愛着…地方主義。…「地産地消」のイデオロギー。(p.156)
(EUの問題点は)通貨は単一でも国家の枠組みは残っているから、労働力が自由に移動できない…(p.206)