スティーブ・ジョブズ 失敗を勝利に変える底力

スティーブ・ジョブズ 失敗を勝利に変える底力」を読みました。ジョブズがまだ生きているときに出版された本です。ジョブズは嫌な奴だということがよく分かる本です。彼の時々の経営行動を概観したのちに、「ジョブズの失敗から学ぶ教訓」を記しています。ジョブズの真似はできませんが、起業をすることの意味や苦労、歓びがよくわかりました。備忘します。

スティーブ・ジョブズ 失敗を勝利に変える底力 (PHPビジネス新書)

スティーブ・ジョブズ 失敗を勝利に変える底力 (PHPビジネス新書)

…2005年スタンフォード大学で行ったスピーチは世界中に配信され、多くの人々に感動もたらした事はつとに有名だが、ジョブズはそこで、「アップルをクビになった事は、人生最後の出来事だった」とまで言い切っている。その理由をジョブズは、クビにならなければピクサーは生まれなかったし、ピクサーが生まれなければ、世界初のアニメーション映画「トイストーリー」も生まれなかったと語っている。… iPodが生まれ音楽業界に革命を起こしたのも、 iPhoneが携帯電話の常識を破り世界の人々に驚きを与えることができたのも、すてアップルをクビになったおかげであった。…浮き沈みは経営者の常である。短期的な失敗であきらめてはいけない。目先のカッコ悪い現実に足をすくめていては、長期的なそして本当の栄光には決して近づけない。(p.35)
…一瞬の成功に酔いしれてはいけない。成功とは、不安定な山の頂に過ぎないのに、まるで安定した広い大地の上に立ったかのように多くの人は錯覚してしまう。頂上を目指し苦労をして登り切ったところには、広々とした平原が待っていて、それから先は楽ができると考えるのは大間違いだ。成功を手にした瞬間には、次の目標に向かって再び歩み始めろ。高度経済成長で頑張ったのに失われた20年間を無為に過ごして、中国に抜き去られようとしている日本がいい例だ。成功の余韻に浸っている時間が長ければ長いほど、より大きな失敗が口を開けて忍んでくる。(p.81)
…感情だけで経営を進めては、成功はおぼつかない。そんなことで物事がうまく行くほど会社経営は甘くはない。そもそも現場の日常的な仕事であっても、感情を持ち込んだ途端にそれまでできていてことができなくなったりするものだ。(p.113)
戦略を立てるときは、敵の過去の姿だけでその未来を想像してはいけない。成長しているのは敵も同様、もしくはそれ以上の成長していると考えなければ戦略はに立たないものになってしまう。マイクロソフト創業当時のビルゲイツを、ジョブズは相手にしていなかった。会社の売り上げ規模を見ても、格段にアップルが大きかった。だからジョブズは成長しているゲイツを過小評価し、痛い目に遭ったのだった。ジョブズを追放した後のアップルもそうだった。(p.129)
企業が一社だけですべてを完成できる時代は終わりを告げようとしているパートナーとのタッグでいかに高い完成度を達成するかがこれからのグローバルが企業競争でのカギを握る。だからこそパートナーの挑戦的な意欲を引き出す力があれば最強の武器となる。(p.165)
グローバルな競争で他社に打ち勝つためには、他社が考えないことを考え出せるかどうかがポイントだが、他社が考えないことは、リスク満載ということでもある。リスクだらけのアイデアに対して社内の全員が賛成してくれるだろうか? 今や頭を切り替える時が来ている。全員の賛成などは初めから期待しないことだ。価値観が多様化し競争が激化する時代で全員が賛成する事などもはやあり得ない。反対者を恐れない姿勢こそが世界を驚かせる新しいものを生み出す原動力である事は、数々の失敗を乗り越えてきたジョブズの人生が痛烈に教えてくれる。 (p.184)