巡るサービス

「巡るサービス」を読みました。小さなホテルチェーンの生き残りストーリーです。感激しました。10年も社長をやっていて「できない」と断定している自分が恥ずかしくなりました。私一人では無理ですが、チームで取り組めば、必ずブレークスルーできます、チームを諦めかけていた自分を恥じています。ビジネスは「本気」でやるものだ、「情熱」を抱いてやるものだ、長らく忘れていた起業家精神を呼び覚まされました。備忘します。

巡るサービス―なぜ地方の小さなビジネスホテルが高稼働繁盛ホテルになったのか

巡るサービス―なぜ地方の小さなビジネスホテルが高稼働繁盛ホテルになったのか

簡単にストーリーを紹介すると、競争戦略を構構する時に考えるべき「違い」と「つながり」という2つのうち、「つながり」に軸足を置いて考える競争戦略と言える。「つながり」をストーリーのように作っていく。ビジネスというのは、すべからく「誰に」「何を」「どのよう」に提供するかを組み立てることであり、の一つ一つの視点において「違い」を極立たせていくことが競争戦略なのだが、それらを物語のように結びつけていくという論理である。そそのストーリーは「太く」て「長く」て「強い」ほど優れた戦略と言え、結果真似されない、真真似できない、真似したいとも思わないものになっていく。(17ページ)
だが、企業の経営をしたことのある人間なら誰でも知っていることかだが、組織の運動はその生存期間の過半を「悪天候」のうちで過ごすものである。組織人の真価は後退戦においてしばしば発揮される。勢いに乗って勝つことは難しい事では無い。勝機に恵まれれば、小才のある人間なら誰でも勝てる。しかし後退局面で適切な判断を下して、破局的崩壊を食い止め、生き延びることのできるものを生き延びさせ、救うべきものを救い出す事は極めて難しい。「苦しいとき」においてその能力が際立つような人間を採用するという発想は「攻めの経営」というようなことを嬉しがっているビジネスマンにはまず宿らないものである。’125ページ)
そう考えると、マニュアルに縛られたり、クレームを怖がってやれることをやらないスタンスはナンセンスだと思わないだろうか。自動チェックイン機を導入したり、ワゴンに備品を置いておき、勝手にお客様が必要なものを取っていくといった、接点をなくしていく努力というのは、実はみすみす利益の源泉を見見捨てているということなのだ。(161ページ)
現場は経営者のものではなく、現場責任者である総支配人やマネージャーのものである。責任を持たせるのであれば、最後まで判断する権限を決める権限を持たせ、口出しは控えるべきではないだろうか。それを理解しないホテルオーナーの下で働く総支配人が操り人形になって、すべての階層の長が指示待ち人間になっていき、結果、組織全体が思考停止とモチベーション低下を引き起こしてしまっている例をよく見かける。責任と権限はセットで与えるべきなのだ。(169ページ)
ググリーンコアでは、チーフ以上の社員全員が…マインドマップの研修を受けている。その結果、現在資料はすべてマインドマップで統一し、ミーティングはプロジェクターで投影されたマインドマップを見ながら話し合い、その場で決定事項メモしていく。さらにそれらの結果決定事項や議事録は、チャットワークというコミュニケーションツールで共有されていくことによって…ミーティングはほぼペーパーレスだ。(190ページ)
…セールス&マーケティングの大きな戦略の柱は「顧客化」である。あらゆるビジネスで言われてる通り、いちど利用して頂いたお客様に再利用してもらうコストは、新規顧客を獲得するコストの6〜8分の1で済む。グリーンコアでは、来てくれたお客様に顧客になってもらうことに注力している。…そしてもう一つ、戦術的なアプローチとしては、出歩かないで営業という取り組みをしている。…スタッフが1人外に出てしまうと時間のロスが大きい割には獲得件数が少ないのです。 (196ページ)
企業活動の目標は長期利益である。そしてそのためには顧客満足という目的を追求する。顧客満足を得るためには、競合企業には無い魅力を提供しなければならない。それが「違い」である。そして、その違いと言う打ち手は、一つ一つをバラバラに行うのではなく、ストーリーのようにつなげていくことによってえ強いビジネスにしていくのである。「違い」という静止画の羅列、アクションリストではなく、動画のように「違い」という打ち手でつなげていくのが「ストーリーとしての競争戦略」の本質だ。(198ページ)
みんなで考えていると、本当にいろんなアイデアが出てくるものだなって思いましたね。まともなな頭脳を持った人間が6人も集まっているのだから、正しい設問さえあれば、自ずと正しい解は導き出せるんです。こういう時、往々にして間違ってしまうのは、最初から正しい解答を求めてしまうことです。大切なのは正しい「問いかけ」なのです。最初の設問を間違えてしまえば答えも間違えてしまいます。(238ページ)