イノベーション・オブ・ライフ

イノベーション・オブ・ライフ」を読みました。良書です。「イノベーションのジレンマ」の著者クリステンセンの著作です。若い頃に輝いていた同級生達がやがて、会社の不正に関わったり、家族との不和が原因で健康を害したり、仕事では一見成功したように見える友人達が、なぜ人生に失敗したのか? 卒業する若い学生達に伝える珠玉のアドバイスです。経営学の理論を、自身の人生に適用すれば、楽しい人生を送ることができるという指南書です。
人生の中で、これが最重要の決定事項であるとの信号は発せられない、日々の小さな決定の中に重大な決定が含まれていると指摘しています。60年近く生きてその通りだと反省も込めて思います。職業を選ぶ方法、家族とうまくやっていく大切さと方法を熱く語っています。「木陰がほしければ、今、若木を植えても間に合わない…」その通りです。備忘します。

イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ

イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ

子供の知的能力を伸ばすうえで、生後数ヶ月間の過ごし方がいかに大切かを示す重要な研究が注目を浴びている。…生後2年半までの子どもに悩む語りかけが与える影響研究した。親の間で行われるすてのやりとりを、細心の注意を払って観察し、記録したところ…子供が言語に触れるき最も重要な時期は生後1年間だという…子供たちが学校に上がってからも追跡調査をした。…成長してからの語彙と読解力の試験の成績とも強い相関があった。また子供にただ何かを語りかければいいというわけではなかった。親が子供に語りかけるその方法が、重大な影響を及ぼしていたのだ。…ひとつは彼らが仕事の話と名づけたもので、例えば「お昼寝の時間よ」「車に乗りましょう」…豊かな複雑な対応ではなかった。この種の会話が認知発達に及ぼす影響は限定的…これに対して…大人と全く同じ知的なことも使って、…大人たちの会話に加わっているかのように話しかけた時、認知発達に計り知れないほど大きな影響があった。…「今日は青いシャツを着る、それとも」…という具合だ。…つまり子供に身の回りで起きていることを深く考えさせるような質問だ。そしてこのような問いかけは、…計り知れないほど大きな影響を及ぼすのだ。(P.104)
…たとえ良かれと思ってやっていることでも、親として果たすべき役割をアウトソーシングすればするほど、子どものおそらく最も重要な能力である価値観を養う手助けをする貴重な機会を失うことになるのだ。(p.156)
…子供の怠惰な行動や無礼な行いを何度かでも見逃せば、それを家庭文化にしてしまうプロセスが発動する。また子どもが問題を解決しようと精一杯努力したとき、立派なことをしたねとほめれば、やはりプロセスが発動する。親として、常に一貫した態度をとる、子供の正しい行いをいつでもはげますのは大変なことだが、文化はこうした日々のやり取りの中で定められていく。そしていったん文化が出来上がれば、それを変えるのは不可能に近い。(p.198)
限界費用分析をもとに「この1度だけ」の誘惑に屈すれば、行き着く先で必ず後悔する。私の学んだ教訓は、自分の主義を100%守る方が、 98%守るよりたやすいということだ。この一線、自分なりの道徳上の一線は、強力なものになる。決して越えることのない一線だからだ。一度でも越えることを自分に許せば、次からは歯止めがきかなくなる。何を信条とするかを決め、それを常に守ろう( p.216)