日本の弓術

「日本の弓術」を読みました。大正時代に日本で教鞭を執ったドイツ人が、弓の名人に弓術を習い直感的な思考や禅の考えを体得した話です。今の日本人はこのドイツ人と同じに思えます。「力を抜いて」「力を抜いたら弓を引けない」「矢を放そうと思うな」「離そうと思わなければ射ることはできない」通訳を通じて先生とやりあうが、ある日の夜、理解する。名人が暗闇で的に向かって二本の矢を放つと、二本とも的に当たったが、なんと二本目は一本目を後ろから切り裂いていた。心で見る、心で射るということを理解した瞬間でした。中島敦の「名人伝」を彷彿とさせる話に魅せられました。良書です。

日本の弓術 (岩波文庫)

日本の弓術 (岩波文庫)