社長が守るべき経営の定石50項

「社長が守るべき経営の定石50項」を読みました。FBの古屋さんの紹介です。何と定価9,800円(消費税別)です。高いか、安いか?。社長をやったことのない人には、ほとんど無意味な本だと思います。経営に苦しんだことのない社長にも無意味です。私は読みながら深く考え込んでしまいました、反省と悔恨です。
著者はスター精密の二代目経営者にして有能な鉄人社長です。リーマンショック後の世界大不況で売上7割急減、85億円の大赤字に直面するも、人員削減、給与カット一切なしに翌年見事、V字回復…。本書は、幾度の不況を乗り越えて典型的中小企業を父と共に東証一部企業に育て上げた著者が、これまで徹してきた膨大な佐藤式経営の神髄を50項に集約、社長の実務として集大成した経営虎の巻です。備忘します。

社長が絶対に守るべき経営の定石

社長が絶対に守るべき経営の定石

(銀行に借金すること)を回避するためには、まず、在庫を減らすこと、そして買掛債務の回収を早める。こういう日々の運転資金で無駄な借金をしないことが、経営者が資金繰りに悩む頃のない、無借金経営を実現するための重要な定石なのだ。(p.31)
すなわち、斜陽化するものは赤字化する前に捨てる。そして新たな成長産業にいち早く着手し、そこに経営資源を集中させる。この繰り返しでしか、会社の繁栄はないのだ。(p.33)
したがって「国がなんとかしてくれるかもしれない」「政府が景気回復のテコ入れをしてくれるかもしれない」という期待は抱かないことだ。また、これまで挙げてきた「世界一高い人件費」「世界一贅沢な消費感覚」「世界一高い法人税」「世界一の高齢化」などの景気後退要因の解決も、現在の政治のていたらくを鑑みれば、早期の解決はとても望めない。(p.50)
…まず最も基本的な定石の第一として、自分の会社に自信を持つこと、これを挙げておきたい。(p.54)
つまり、社長というのは人並み以上の情熱と情緒を持ち合わせた人物であるが、だからこそ、社長には人並み以上に冷静な数字のコントロールもまた必要なのである。経営はバランスである。社長の頭のなかでは夢と数字のバランスこそが一番大事なのかもしれない。(p.66)
…長い歴史の中でつくられたマイナスは、一定の時間をかけて修正していくしかないのだ。したがって、急ハンドルを切らないように、社長は過去から現在に続く会社のトレンドを的確につかまなければならないのだ。(p.85)
…決算書を社長の立場から正しい判断が行われ易い決算書に作り直し、且つ数年分を一枚の紙に時系列に並べて眺めた時、社長はこの数年間に会社内に起きている変化、即ち自社の良いところ、悪いところを正確に把握できるのである。(p.87)
社長が会社の実態を把握して将来の方向づけをするための営業経費分析には、「人件費」「先行投資」「償却費」「役員報酬」「一般経費」と、この5つを見ればよい。(p.94)
ポイントは、自社の業種業態など実態に即して、過去の実績を部門別、支店別、商品別、あるいは得意先別などに分けて正確につかむことが極めて大事ということだ。(p.98)
…とくに「捨てる経営」はこれからの低成長時代に重要になってくる。しかし。多くの社長はこの「捨てる経営」ができない。なぜなら、捨てることは売り上げを減らすことだからである。(p.119)
最初の1〜2年は赤字で、3年目からようやくトントン、4〜5年目にやっと初年度の赤字を返して、ようやく6年目から利益に貢献しだすというのが、これまでの経験からいえば、一番無理のない見通しであり、新規事業の定石といえるだろう。(p.124)
…大きくみて、5%の内部留保を確保するためには、営業経費は売り上げ総利益の約87%未満に抑えなければならないという目安ができる。この目安というのは、企業経営の定石なのだ。(p.138)
要するに、固定費比率の高い会社というのは固定費比率の低い会社に比べて売上高の増減が利益の増減に大きく影響するということである。(p.143)
…私の経験として、製造業で付加価値が40%以下かつ金融費が3%以上ある会社は、根本的にバランスシートを直していかない限り倒産の可能性がある。(p.145)
…社員個々の給料は挙げるが人件費の総額は下げるような方策を考えられないかということだ。(p.159)
社員のやる気を起こすようにするには、結局、社長がいかに社員の生活向上を真剣に考えているかということを、単なる情緒ではなく、具体的な数字に置き換えて、給料の額として示すことが決め手になる。(p.177)
ただ労働装備高を年々上げることは、収益性の面からも健全性の面からもあまり望ましいことではない。なぜなら、固定費がどんどん大きくなると、その分B/Sが肥大化するからだ。よってこれからの時代はとくに、労働装備率は横ばい、あるいは微減で推移し続けるようにコントロールするべきである。それよりも、、もう一方の設備生産性を高めて労働生産性を挙げることの方が望ましい方法だ。(p.254)
…そこで、設備投資が減価償却費の範囲を超える場合には、その上限を130%までと心得てほしい。(p.237)
…社長自身が「先行投資」という科目に対して明確な予算枠を設け、社員に積極的に予算を使わせることが、新事業あるいは新製品の開発の大きな原動力になる。これが定石だといいたい。(p.249)
運転資金の重要な定石のもう一つは、棚卸在庫の保有量についてだ。…その具体的な目安は、月間の付加価値(売上総利益)に対して、4か月というのが在庫の定石である。
(p.268)
固定資金の不足は、長期資金で調達し、運転資金の不足は短期借入金で調達する。これが、資金繰りの一番大事な定石である。(p.298)
…経営の和の源泉となるのは「社長への社員の信頼感」である。…この信頼感に、雇用の安定と給与の保障という形で具体的に報いてやることが、社員の力を最大に発揮させる要因となるのだ。(p.399)
…社長の器、あるいは社長に人格が、し社格を決めると言っても過言ではない。