トレードオフ

トレードオフ」を読みました。シンプルな主張「戦略とは上質か、手軽かの二者択一である」を述べた本です。「中途半端はだめである」あるいは「戦略とは捨てることである」を豊富な実例を挙げています。つい事例の面白さに引き込まれてしまいました。今後、あらゆるビジネスを考える際、「上質をとる事業か、手軽をとる事業か」と問うことにします。良書です、備忘します。

トレードオフ―上質をとるか、手軽をとるか

トレードオフ―上質をとるか、手軽をとるか

上質さと手軽さのトレードオフに直面しているのは、決して映画業界だけではない。この問題、つまり両者をどう天秤にかけるかは、およそあらゆる事業に関係してくる。(p.21)
経験、オーラ、個性。この三つの足し算によって上質度は決まる。(p.51)
「人々から愛されるか、必要とされるか。このどちらかの基準を満たさないかぎり、ビジネスは繁栄しない」…上質であるとは、突き詰めれば愛されるということだ。…他方、手軽であるとは「必要とされる」と同義である。(p.58)
とはいえ、愛され、なおかつ必要とされる存在になるのは、つまり上質さと手軽さをともにきわめるのは、かぎりなく不可能に近い。それどころか、二兎を追おうものなら破滅へと向かいかねない。(p.59)
精緻なアルゴリズム、新しい発想法をもってしても、稚拙な判断をなくすことはできないだろう。ただし、上質と手軽の天秤というコンセプトを用いると、競争状況、テクノロジーの変化、顧客の嗜好などを考えに入れながら、商品や投資にどれだけの価値があるかを見極めることができる。(p.210)
…既存の領域で一番になれないなら、絶対に他人に負けない自分の強みを考えて、それにふさわしい領域を切り開けばよい。起業家たちもこれと同じ道を歩み、IBMボーイングのCEOを目指す代わりに自分で会社を興している。(p.258)