リーダーのための戦略思考

「リーダーのための戦略思考」を読みました。教科書として書かれた本でしょう。章の終わりに「経営者(読者)への質問 以下の質問について、紙に書いて答えてください。 1.日々の経営で『戦略』という概念についてどこまで意識していますか? …(P.31)」とあります。勉強だと思い紙に書いて答えました。大変勉強になりました。ただ6章の実例は説明が悪いので蛇足です。備忘します。

リーダーのための戦略思考

リーダーのための戦略思考

…会社が潰れる根本原因のほとんどは売り上げの減少である。日本では、…むしろリーマンショックのような経済危機、新興国の方向と円高による空洞化、東日本大震災の大規模な自然災害などによって、売上がどんどん減少し、コスト削減努力だけではどうにもこうにもならなくなって、会社が潰れるパターンが圧倒的に多い(22ページ)
もう一つこんな時代に、会社をつぶさないためにとりわけ大事な事は、やはり金勘定の基本、すなわち財務経理をしっかり押さえることだ。中でも資金繰り、現金の定義(キャッシュフロー)について、そのメカニズムをしっかり理解し、その理解の上で自社の現状と課題を常に押さえていくことが肝要となる。(25ページ)
とにかく、まずは自分のやっている事業、商売の儲けの仕組みをよく理解し、見極めてることが重要だ。…この事業経済性に対する正しい理解を基礎にすることで、売りを増やし、金が回り、持続的に利益を上げていくための施策体系、すなわち正しい戦略が立案可能になるのである。(28ページ)
製造業に関して、歴史的な円高による輸出不振がまず挙げられる。しかし、円高だけで説明できない要因がある。すでに、安定成長期で重厚長大企業は日本経済の主から降りている。安定期の主であった自動車、電機などの組立産業に、低成長期に入ってから異変が起きた。(50ページ)
大企業から中小企業まで多くの日本企業が、低収益性に喘いでいる。高度成長期に完成したビジネスモデルをそのまま引き継いでいることが原因の一つになっている。高度成長期は、作れば売れる時代であったことから製造と販売が別々の目標に向かって仕事をする製販分離は、合理的であった。しかし作れば売れる時代から、顧客の潜在ニーズを探し、製品を開発し、どのような販売方法にするのかを決めなければ売れない時代になった。戦争も販売も戦略とマーケティングがないと、ものづくり販売することができなくなった。「よいものを作れば売れる」という考えは過去の伝説になった。(52ページ)
このように企業が生き残るためには、環境変化に対して高い適応能力を持つことであり、金曜として、次の時代は、なにが重要なのかを考え続けて、企業の方向付けを明確にすることが重要になっている。(62ページ)
リスクとリターンは両輪の輪である。戦略計画の中で戦略的な検討が行われることでとるべきリスクが明らかになるであろう。経営者はリスクを避けることが重要でなく、リスクに向き合う姿勢の方が重要である。企業経営は必然的リスクを伴う。リスクも多種多様であるので、それでもリスクに対応することは不可能である。守るべきことは何かという考えでリスクに対応することが必要になる。リスクはあくまで将来の不確実性の中に存在する。(63ページ)
ス戦略の判断は、「あちらを立てればこちらが立たず」というトレードオフが多い。トレードオフに躊躇する経営者が多いのも事実である。しかしトレードオフに果敢に挑戦することで真剣に企業経営に向かうことができる。トレードオフの判断は、経営者が行う最も重要な戦略的判断になる。(72ページ)
サラリーマンが経営者に上がるにつれて、現場から疎遠になっていく。現場に行っても、見学するだけのことになる。現場に行ったら、現場の人間とじっくり対話することが必要だ。現場での対話では、日頃の勉強の成果が出てくる。(75ページ)
業種に関係なく、ほぼ共通に重要な自社情報は、儲けの構造に関わる情報である。…「重要な経済性」すなわち何が儲けを決めているのか−価格交渉力?商品力?コスト競争力?生産規模?顧客の集中度?地域の集中度?…自社にとって、何をどう変化させれば売り上げが増え、かつコスト効率が上がるのか、この実態をいつも正確に把握してることは容易ではない。(88ページ)