超入門失敗の本質

「超入門失敗の本質」を読みました。「失敗の本質」は名著だと聞いておりますが、未だに読んでいません。先にダイジェストを読んでしまいました。池田信夫氏の日本人特有「空気の話」も出てきました。失われた10年、失われた20年の原因の一端がここにある、これからの日本の将来は、この「失敗の本質」を乗り越えないかぎり失敗が繰り返されるのではないかと真剣に憂えてしまいました。備忘します。

「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ

「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ

「ゲームのルールを変えたものだけが勝つ」…日本軍は戦場において様々な戦い方のルール自体を変えられてしまい、自らの強みを封じられながら米軍にに圧倒されていく場面に何度も遭遇しています。従来から積み重ねた方法の精度ではなく、完全に異なる構造でゲームの勝敗がついてしまう新たな戦闘方法への移行です。改善を継続することで小さな変化を洗練させていく日本軍は、劇的な変化を生み出す米軍に、ゲームのルールを変えられて敗退したと考えることができるのです。(p.79)
日本軍は戦局を変える新技術を継続的に開発することができず、零戦が劣勢になった後も、軽量であることにこだわりました。その上、「精神主義」「過去に勝った技術の過信」など、技術屋の視点も転換できずに敗戦を迎えます。(p.86)
米軍は達人を不要にする「システム思考」によって戦闘方法転換させましたが具体的には、相手が積み重ねた努力と技術を無効にするのを理想としています。同じルールではなくルール自体を変えてしまえば、圧倒的に有利な状況作り出せるからです。(p.88)
戦略とは「追いかける指標」であると定義できます。したがって第二次上海戦で日本の精鋭部隊が敵陣突破に多大な日数を要したのは、敵側が展開した「鉄量戦略」が効果を発揮していたからだと捉えることが出来ます。(p.104)
イノベーションとは、支配的な指標を差し替えられる「新しい指標」で戦うことである。同じ指標を追いかけるだけではいつか敗北する。家電の「単純な高性能・高価格」はすでに世界市場の有効指標ではなくなった。(p.114)
イノベーションは既存の戦略を破壊するために生み出されており、効果を失った指標を追い続けることは、他者のイノベーションの餌食となることを意味する。高性能とイノベーションは偶然重なることもあるが、本来は別の存在である。(p.130)
あなたが「知らない」という理由だけで、現場にある能力を蔑視してはいけない。優れた点を現場に見つけたら自主性・独立性を尊重し、最大・最高の成果を上げさせる。(p.158)
米軍は現地指揮官に、部下の無能指揮官を罷免する人事権まで与えています。士気のない、作戦の成功を邪魔する指揮官を即座に排除するためです。日本軍では、第一線の高級指揮官に人事権が与えられておらず、無能な指揮官の交代を陸軍省に上申するだけで、正式な発令があるまで指揮権を奪うことはしませんでした。明らかに無能でも、日本軍内では現地第一線に留まり続けてしまうことができたのです。(p.172)
…ゴードンはコスト削減を唯一のゴールとする方針を改め、航空会社として当然の二つの要素を目標として新たに掲げました。「・機内の清潔さ ・便の到着時刻を正確にする」結果どうなったでしょうか。業界が奇跡と呼ぶ回復を達成し(p.194)
…戦略のことを「追いかける指標」と定義しています。目の前の出来事に対して追いかける指標を理解していないにもかかわらず、体験的学習から別な発見を導き出して「一点突破全面展開」を行う傾向が日本人であることをこれまで説明してきました。同様に「何が正しくて間違いであるか」を論じる基準がないことで、一点その議論を突破されると、関係の薄い全体像まで同じ結論だと誤認されているということです。「海軍将兵が陸兵になる覚悟を決めたのだから、大和特攻は当然である」と同じ理屈です。(p.214)