フォーカス

「フォーカス」を読みました。20年前の古い本ですが、これは名著です。「選択と集中」を主張するすべてのビジネスマン必携の本だと思います。論の切れ味が鋭くて、気持ち良くなります。「多角化は失敗する、GEもきっと失敗する」文句あるか! 備忘します。★★★

フォーカス! 利益を出しつづける会社にする究極の方法

フォーカス! 利益を出しつづける会社にする究極の方法

ライン拡大の方法は、それこそ宇宙の銀河のように数限りなくある。しかも、日々新しい方法が編み出されている。だが、どんなライン拡大も、長期的に見ればほとんどが失敗する。(42ページ)
長期的に見た場合、日本のコングロマリットは、強いブランド名と収益構造の下でフォーカスした企業に対抗できなくなるだろう。日本以上に政府の規制が厳しい韓国では状況は更に酷い。(61ページ)
「溝を埋める」「ライン拡大」「垂直結合」…、どう表現しようとも、それが企業のフォーカスを失うものであることに違いはない。これはを遂行した企業は、フォーカスを絞った企業との競争に弱い。(75ページ)
つまり合併の善し悪しは、それが企業のフォーカスを高めるものになるかどうかにかかっている。同業の企業同士の合併はフォーカスを高める。逆に共通性のない企業同士の合併はフォーカスを失わせる。(85ページ)
経営者や起業家の多くは、商品を増やす方法を求める。「急成長したいなら製品ラインを狭めるべきだってそんなバカな…」誰もが商品やサービスを増やすべきものだと思っている。当然と思えることや合理的に思えることも、真実ではないことがある。ビジネスにおいては、商品やサービスを増やすと利益が減る。逆に商品やサービスを減らせば利益は増えるのだ。だからもし、成長したいなら、まず商品やサービスの種類を絞らねばならない。会社設立を計画しているなら、ライバルより取扱商品を絞り込むべきだ。(94ページ)
リーダーを選ぶには、数字でもなく人格でもない、第三の方法がある。それは部下たちにこの事業に最もふさわしいリーダーは誰かと尋ねる方法だ。人気投票せよと言っているのではない。そんな事では、うまくいかない。今、すでにリーダーシップを発揮している人物を選び出すのがうまくいく、と言いたいのだ。生まれつきのリーダーというものは、おのずと早くからリーダーシップを発揮するものだ。(118ページ)
品質を追求するのは悪いことでは無い。最高のものづくりを目指す事はが悪いはずがない。ただ、高品質の製品を作ることと、素晴らしいイメージを築くこととは別なのだ。ではイメージを高めるにはどうすればいいか。答えは「フォーカスを絞る」である。フォーカスが失われた企業は、イメージも悪くなる。(135ページ)
ある市場のトップ企業は、どこも「その市場を最初に作った企業」だ。その製品では無い、その市場だ。…ビジネスで重要なのは、誰が市場を作ったのかということだ。自分、あるいは自社がこの市場を築いたのだと言うイメージを作り上げること、そのために素早く展開することだ。(159ページ)
通販もフォーカスの一つである。一般に、製品知識がある人ほど通販を利用する。(191ページ)
調整の方法には次の5つがある。このうち四つは概して有効だが、一つそうではない。…新旧両方に二股をかけるこれは変化の対応策として最も人気があるが、実は最も効果の無い方法である。(206ページ)
古い企業の多くが絶滅した一因は、既存のブランドを守ろうとしてライン拡大などの延命策にすがり、若者向けの新ブランドを導入しなかったことにある。理想は、あらゆる企業がひとつのフォーカスの下で複数ステップ(複数ブランド)を準備し、ステップの最下段に新ブランドを導入することだ。(286ページ)
カイゼン」という日本語がある。これは、継続的な改良を意味するもので、生産ラインでは威力を発揮するが、経営に応用するには危険である。経営陣は「継続的な改良とは、市場の変化を追うことである」と解釈することが多い。そこから市場がどう変化しようと我々はそれについていくという発想につながるのだが、これが罠になる。(311ページ)
早晩あらゆる企業でこれと同じような問題に直面する。既存の製品が次世代製品に脅かされるのだ。この水をうまく超えるために、企業がせねばならない鉄則は四つある。・素早く行動起こす・新製品を開発する・新製品名をつける・大胆に行動する(329ページ)
あらゆる企業が、いつかは次世代型製品を手にした強力なライバルに直面する。その時、新世代と戦うのか、それとも自分も革命派になるのか? それは次の四つの質問に対する答えによって変わる。・一番乗りできるか・その次世代市場に価値があるか・適切な名前を見つけられるか・初手を変えないでやっていけるか…(342ページ)
どんなに強力なフォーカスでも、いつかは時代遅れになる。企業には必ず、再びフォーカスし直さなければならない時が来る。(376ページ)