損益分岐点の実務が面白いほどわかる本

損益分岐点の実務が面白いほどわかる本」を読みました。必要に迫られて、読みました。本書は簡単な財務諸表の数値を用いて、まことに平易に解説しています。これまで損益分岐点分析を実務的に活用する方法を知りませんでしたので大変勉強になりました。経営者であった頃は、直感的に判断していました、たまに外れるのは経験バイアスのせいでした。経営判断は数値の裏付けが必要です。利益を上げるための重点商品をどのように選ぶか? 外注か社内生産か? 不採算商品カットの基準は?などなど。 最終章、損益分岐点で利益計画を策定する具体的な手法が解説されています。ページ数の少ない本でありながらすこぶる有用な本です。備忘します。★★★

費用の分解は勘定科目ごとに、変動費と固定費に区分する方法が最も実務的。(p.28)
スルートップとは「会社が販売によってキャッシュを生み出すスピード」の意味ですが、会計的には「売上高−変動費」でとらえられます。…すなわち、今の会計は、増産するほど単位当たりの売上原価が小さくなるので、仮にその商品が販売できずに在庫になっていても利益が増えてしまう構造なのです。そこでこのような弊害を除去して正しい意思決定ができるように工夫したのが「スルートップ会計」です。(p.70)
一人あたりの固定費は優良企業が最も高く、欠損企業が最も低くなっています…欠損企業ほど固定費を圧縮せざるを得ない状況にあることがくみ取れます。限界利益の高さは商品力の強さをしめしています。一人あたりの売上高は社員の質ややる気の表れとみていいでしょう。(p.82)
一般企業の売上高経常利益率は黒字企業でも2〜3%程度です。ということは、限界利益が2〜3ポイント改善されると、経常利益は2倍になるということです。(p.92)