経営者の条件

「経営者の条件」を読みました。サラリーマンから「取締役」に昇進していく人は、組織によって選ばれるのであり、人間関係への配慮やバランス感覚が重要で、その感性が欠けると日本では受け入れられないとのことです。リクルートの元役員で学者に転じられた方の意見です。経営者には創業型とサラリーマン型の二つがあり、事業の方向性を決めるなど同一のところもあるが、起業家精神のあり方など違う点も多いと指摘しています。備忘します。★

経営者の条件 (岩波新書)

経営者の条件 (岩波新書)

日立製作所は、久原財閥オーナー・久原房之助のもと創業された形だが、実質的には日立鉱山の一技術課長であった小平浪平によって起業されたのが始まりであった。…久原の承認はなかなか得られなかった。しかし、小平は諦めず、日立鉱山の修理工場…が実質的な日立製作所の創業…(p.33)
「社長の大事な三つの役割として、〇会社がどういう方向に進んでいくかを決める(旗を振る) 〇だれにどの仕事を担当させるかを決める(首をすげかえる) 〇いかに効率よくお金を投資し、運用するかを決める(お金を分配する)(p.41)
経営者に求められる「企業家的能力」の根幹を成す要因として、「起業家精神」に支えられた旺盛な事業意欲と時代の先を読む知恵としての「事業家的才覚」は欠かすことができないものといえるが、この能力は、オーナー経営者を特徴づける要素と考えてよいだろう。(p.71)
…組織においてリーダーの発揮すべき影響力は…一つが組織目標に向けて、メンバーに役割を割り当て、その遂行を指示・要望し、督励する能力であり、もう一つが、個々のメンバーの側に立ってその立場を理解かつ受容し、人間関係にも配慮し、集団の心理的基盤を維持する機能である。(p.81)
…高度な知的能力としての推理能力においてより優れた資質を有する人の方が、経営管理者として成功する可能性が高いこと、そして、性格面においてはより情緒的に安定している人、より社交的な人の方が経営管理者として成功の可能性が高いということである。(p.127)