悪童日記

悪童日記」を読みました。これは面白い! 双子の少年の「悪さ」の行動のみを淡々と描いています。「いたずら」ではありません「悪さ」です。痛快な悪漢小説のようでもありますが、虐殺、拷問、強姦、略奪などなど、戦時の悲惨さを価値観抜きで提示しています。小説内で場所や時代は特定していませんが、第二次世界大戦前後、動乱のハンガリーだとのことです。解釈は「あなたの自由です」と言われている気がしました。短い小話を積み重ねて、ひとつの小説にしています。「百年の孤独」を読んでいるようでした。ひとつひとつが独立したストーリーになっているので読みやすく飽きさせません。噂には聞いていましたが、思った以上でした。備忘します。★★★

悪童日記 (ハヤカワepi文庫)

悪童日記 (ハヤカワepi文庫)

「感情を定義する言葉は非常に漠然としている。その種の言葉の使用は避け物象や人間自身の描写、つまり事実の忠実な描写だけにとどめたほうがよい。(p.43)」