十五歳の露国少年の書いたカムチャッカ旅行記

カムチャッカ旅行記」を読みました。11月はじめの函館観光検定を受験するにあたり、いろいろな資料を漁りました。その中でデンビー商会が北洋漁業に大きな足跡を残していることを知りました。そのデンビーさんの友人の息子が著者です。父親と9歳の弟とともに、横浜から函館、函館からカムチャッカで遊ぶ、2ヶ月余りの旅行譚です。お金持ちのお坊ちゃんが猟銃でクマや羊、カモを撃ち、鮭を釣る、羨ましいかぎりの話です。父親ロシア革命の影響で深刻な状況であったにもかかわらず、息子の教育のために連れて行ったようです。
文章は平明で、内容は乏しいのですが、経験を淡々と語っているので読みやすい本になっています。函館や大沼の100年前の姿、あまり変わっていないことに驚きました。それにしても、この少年の残りの人生はどうだったのか、興味深いところです。備忘します。

十五歳の露国少年の書いたカムチャツカ旅行記〈復刻改訂版〉

十五歳の露国少年の書いたカムチャツカ旅行記〈復刻改訂版〉

  • 作者: ジョルジュクラマレンコ,今井昌雄,ゲアクラマレンコ,松本高太郎
  • 出版社/メーカー: 新函館ライブラリ
  • 発売日: 2013/01/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログを見る

甲板にでたら、ぴかりぴかりと光る灯台が見え、先へ進むとまたひとつの灯台が見えた。船が湾内に入ると、無数の灯火に美しい函館市が目の前に展開された、間もなく田村丸は埠頭近くに錨を下ろし、乗客は順々に船から降りた。(p.23)
晩の6時ころ一行は古い服と釣り道具をもって停車場に行き、汽車に乗って小さな停車場で降り、日本旅館に泊まった。ここが大沼である。(p.26)
やっと津軽海峡に入った。ここで難破した帆船の浮いているのを見た。風は次第に弱くなり、海峡に入ったら船はほとんど揺れなくなった。晩の7時に函館校に入り、7時半に埠頭に碇を下ろした。(p.143)
斯く私たちの暑中休暇は過ぎた! ああ愉快な暑中休暇であった!(p.146)