日本はなぜ敗れるのか

「日本はなぜ敗れるのか」を読みました。トヨタの元会長の奥田氏が幹部に薦めた本だそうです。人は、極限状態では人間ではいられず、動物とおなじになってしまう恐ろしさを知りました。日本が敗れた理由は、非常識な前提を「常識」として行動すること。特殊能力を全員に求めること。人数合わせ。恐怖心でしか統治できないこと。個人として修養していないこと。日本文化に普遍性がないこと、などなど、今でも全く変わっていません。
久々に山本七平節を心地よく聞きました。バブル以降の失われた年月の原因は日本人の考え方、行動様式にあったことを理解しました。現在も、1000兆円の借金がありながら、増税もできず、ハイパーインフレで借金を棒引きにしようとしている政治家、官僚の姿がダブりました。変わっていません。日本経済崩壊のあと「やむをえなかった、そういう空気だった、痛みをこらえて頑張ろう!」だな、きっと。備忘します。

…そして極限まで来て自滅するとき「やるだけのことはやった、思い残すことはない」というのであろう。…そしてバシー海峡ですべての船舶を喪失し、何十万という兵員を海底に沈め終わった時、軍の首脳はやはり言ったであろう、「やるだけのことはやった」と。(p.67)
人間の社会では、平時は、金と名誉と女の3つを中心にすべてが動いている。…ただ、教養や色々の条件で体裁よくやるだけだ。…戦争は、こと負け戦となり、食物がなくなると食物を中心にこの闘争があらわれて、他人は餓死しても自分だけは生き延びようとし、人を殺してまでも、そして終には死人の肉を、敵の肉、友軍の肉、次いで戦友を殺してまで食うようになる。(p.118)