人生を半分降りる

人生を半分、降りることによって、ますます「自己中心的に」いきいきと生きることが可能です(P.185)。久々によい本を読みました。カントの研究者であり哲学者、中島義道先生の著作です。「哲学」は実生活の中でするものだという強烈なメッセージに満ちた著作です。どうせ死ぬのだから世の中どうなっても関係ないという「実在論」と、それでも「思い」を貫きたいという「唯名論」との間で悩んでいたことを初めて認識しました。本書により漱石サルトル、芥川、ニーチェ、太宰の新しい見方を教えてもらいました。特にセネカは一度ゆっくり読んでみます。やりたくないことはやらない、会いたくない人には会わない、残された時間を思いのままに過ごすことを決意します。備忘します。★★★

人生を「半分」降りる―哲学的生き方のすすめ (ちくま文庫)

人生を「半分」降りる―哲学的生き方のすすめ (ちくま文庫)

人生においてせいぜい二番目に重要なことにすべての時間を捧げて、いちばん重要なことをおろそかにする。にもかかわらず、自分は充実した豊かな人生を送っていると思いがちになるだけに、ますます危険である…(P.36)
今までいろいろ苦労しながら、努力しながら、ただただ仲間はずれにされることが恐ろしくて、顔をゆがめて明るい雰囲気に無理に合わせてきたのですが、今後こうした努力をいっさいやめることにしました。つまり、それが「人生を半分降りる」ということなのです。(P.73)
人生を半分降りるということは…みなさんもっと子供になりましょう。もっともっと、徹底的に子供になりましょう、ということなのです。(P.202)