地方消滅の罠

増田レポートによれば「2040年までに全国の市町村の半数が消滅する」という。このレポートが罪深いのは消滅都市に挙げられると消滅が加速するという事実です。「選択と集中」という企業が好んで使う論理を日本に適用すると日本社会が崩壊すると警鐘しています。大都市から地方都市に移り住んだ自分には正しい指摘と感じます。シャッター商店街、若者の姿がない街… 備忘します。

地方消滅の罠: 「増田レポート」と人口減少社会の正体 (ちくま新書)

地方消滅の罠: 「増田レポート」と人口減少社会の正体 (ちくま新書)

出生数の低下は、…人生設計のあり方そのものである。「経済力」はこれらを決定する重要な変数である。p.041
いつでもどこでも企業の都合で雇用が切られる。…いきなり前触れもなく路頭に迷う可能性があること。その不安が私たちの心理に食い込んでしまっている。このことこそ、人口減少が止まらない要因とみてよさそうだ。p.044
…こうして、全面的な総都市化により都市農村関係が変化し、家族・地域・就業場所のバランスが大きく崩れてきたことが、人口減少の要因のひとつである。バランスが崩れたことで暮らしに大きな負担がかかり、もはや息切れして自らを再生産できなくなっている。p.51
…「選択と集中」という一見正しそうな言葉の向こうに、今までの公共事業にはなかった、…もっととてつもない奢りの意識が現れつつあるのではないか…「どうせなくなる地域だから、都市のため、この国の経済のため、国際科学競争に競り勝つために、犠牲になってもよいではないか」…この国の雰囲気として現われつつあるのではないか。p.85
…私たちはまだバランスを崩してはいない。問題はしばしば心理的社会的であり、小さな調整でうまくいくことがかなりあるはずである。…一体化した日本社会の中で、各地域で進める多様なやり方を互いに認める制度設計や、各地で行う問題解決プロセスの構築を推奨し、みなで支えあい、協同を積み上げることのほうがよほど効果的であるはずだ。p.174…増田レポートの考え方は次のようなものだ。国家と経済がしっかりしてさえいれば、人口減少も地方消滅もかまわない。p.176