オンドル夜話

北朝鮮からのミサイル問題、韓国からの慰安婦問題、朝鮮半島を理解したくて本書を読みました。朝鮮理解のキーワードは「ヤンパン」だと理解しました。「ヤンパン」とは日本語でいえば「家柄」のことです。特に李王朝以来「ヤンパン」に朝鮮半島は縛られているようです。きっかけは、司馬遼太郎の対談集に「オンドル夜話」が取り上げられており、朝鮮半島の理解には欠かせない書籍だと言ってたことです。「オンドル」とは炉端くらいの意味です。朝鮮人が、日本人を野蛮人だと思うのも無理はないかも知れません。神宮皇后や秀吉、倭寇もありましたし… 備忘します。

オンドル夜話―現代両班考 (中公新書 682)

オンドル夜話―現代両班考 (中公新書 682)

時たま遠い親戚や親戚の人が来ると、そこはその人の我が家とどういう間柄かを説明したり、ときには我が家一家の血族のルールについて話してくれたりました。このように朝鮮民族の家庭生活の中にしっかりと混じりこんでると言ってよいだろう。ページ69
…「女には名前がない」とは由々しきことだが、少なくとも族譜の世界に限っては、女の名は絶対ないのである。ページ75
朝鮮人、ことにヤンパンたちが、いかにチェサを後生大事にしてきたかを度々述べてきた。考えてみればヤンパンには、我こそはヤンパンなりという特別な印があるわけではない。言うならば虚構の上に築かれたものだ。だからヤンパンたちは常民との違いを保持しようと懸命になる。そのデモンストレーションはほかならぬヤンパンたちの冠婚葬祭である。ページ86
朝鮮が滅びたのは「あのチェサのためだ」と言われる。自嘲を込めての言葉だ。この場合チェサとは無論、冠婚葬祭全般を含めた言葉である。自嘲が込められているのは、チェサに伴う様々な弊害を認めはするが、しかし、なかなか是正ができない問題だということを意味する。ページ97
…異民族、しかも野蛮人として蔑視する「ウェノム」(日本人の蔑称)の血が直系の曾孫に混じる事は、長老たちにとって何とも我慢がならない。ページ124
…朝鮮における社会主義共産主義運動の担い手がことごとく時のエリート、ヤンパン家庭の子弟であったという話だ。新しいイデオロギーを編み出したり、導入してする広める役割をするのは、いずれの国においても知識階級と相場が決まって。問題は後の時代になって、それがどのように評価されるか。ページ170
…しかし北朝鮮金日成首領を神格化する過程で、我々の民族解放闘争史上の烈士たちを闇に葬り去ってしまったことは、痛恨極まりないことだ。ページ192
…長々と書いてきたが、私には祖国の近代化とはヤンパンの亡霊から逃れることだ、という気がしてならない。ページ225