清貧と復興

メザシの土光敏夫さんの名言録です。凄い人です。「経営者にとって最も大きく重い負担は、人事である。経営者は確かに人事権を持つ。しかしそれは独裁権であってはなるまい。それはいわば、神の前にこうべを垂れ、畏れ謹んで行使すべき権限なんだ。」石川島造船、東芝を立て直し、84歳にして行政改革に取り組み、国鉄民営化を実現するなど、輝かしい事績を残した偉人の足跡を辿りました。備忘します。

清貧と復興 土光敏夫100の言葉 (文春文庫)

清貧と復興 土光敏夫100の言葉 (文春文庫)

失敗という言葉はあるけれど、それは失敗でなく道行きである。ひとつの経験であると考える。人間は失敗してはいかんと思うと、元気がなくなる、失敗してもいいんだ、すぐそいつを取り返せばいいんだ、しくじってもよろしい、しくじったとき、うまくいかなかったとき、投げ出してはいけない。大いにそいつを盛り返してやろう。ぼくはそういうふうに考えて、今までやってきた。ページ27
「日に新たなり、日々に新たなり 」1つだけ座右の銘を挙げろと言われれば、躊躇なくこの言葉をあげたい。…今日なら今日という日は、天地開闢以来初めて訪れた日である。それも貧乏人にも王様にも、みんな平等にやってくる、そんな大事な一日だから最も有意義に過ごさなければならない。そのためには、今日の行いは昨日より新しく、良くなり、昨日の行いは今日よりもさらに新しく良くなるように修行に心かけるべきであるという意味…ページ35
物事をとことんまで押しつめた経験のない者には、成功による自信が生まれない、能力とは自身の高さとh幅だと言える。自信を一つ一つ積み上げることが、能力を獲得する過程である。執念の欠如するものには、自信を得る機会が与えられない。ページ58
土光は石川島重工業の社長就任後、現場の従業員を最大限理解しようとした。「絶対に諸君の首を切らない。そのかわり、こちらの注文どおりの仕事をしてもらう。それで文句があるなら、今ここで言ってもらおう」qと言って組合員に協力を求めた。ページ65
一方土光は、社員に対しては言って聞かせる方法として、社内報を作った。タイトルは…ページ66
だから経営者や幹部は、本当は辛い人なのである。割に合わない商売なのだ。しかもしかしそれくらいでなくては、これからも企業体を預かる資格はないと思う。ページ79
土光の経営手法の大きな特徴は分かりやすく言えば「君に任せた、責任は俺が取る」ということだろう。…チャレンジとはトップが事業部長に対し説明を要求すること。それに対し時魚部長は素早く反応しなければならない。これをレスポンスという。その際、見通しが甘かったり、まやかしの報告をすると、土光は「そんなことで東芝の立て直しできると思ってるのか、あとは引き受けるから、もう死んでしまえ」と怒鳴ったという。ページ94
経営者にとって最も大きく重い負担は、人事である。経営者は確かに人事権を持つ。しかしそれは独裁権であってはなるまい。それはいわば、神の前にこうべを垂れ畏れ謹んで行使すべき権限なんだ。ページ97
要するに己の使命が終わったと思ったら、しのごの言わず、さっさと退けばよいのである。日本の経営者には、どうもこの引き際が下手な人が多い。口では人心一新などと言いながら、トカゲの尻尾ばっかり切って、自分はいつまでも権力を握り続ける。そんな会社が傾いた例は多い。ページ104
トリウム溶融塩がとはウランの代わりに、トリウムを燃料として使う。具体的には、塩類が高温で液体になった中に、トリウムをとかして、エネルギーを取り出す手法だ。最大の特色は、プルトニウム等の放射性廃棄物をほとんど発生しないことだ。ページ115
土光の取り調べをした元検事総長の伊藤秀樹は「秋霜烈日」の中で土光について記している。「私は東京地検特捜部の検事を7年もやったから、その間に検事被疑者として相対した政治家、役人、会社経営者は、相当な数に上る。拘置所の調べ室で…検事は罪の清算を説得し、被疑者はこれに対応する。その間に被験者の全人格はもちろん、検事のそれも、互いに赤裸々にさらけ出される。私もいろいろな本当の姿を見ることができたが、「これはまいった、実に立派な人だ」と感心させられた人が数人いる。それらの人と会うことができたのは、検事冥利に尽きると思っている。その筆頭が土光さん。ページ137
「日本の自殺」という論文の結論は、ローマ帝国パンとサーカスによって滅びたというものだ。これを分かりやすく言うと、巨大な富を集中し繁栄を謳歌したローマ市民は次第にその欲望増大させ、ただのパンを与えられて労働忘れ、サーカスに代表される消費と娯楽に明け暮れるようになり、その結果、ローマ市民はそれまでローマ帝国を支えてきた勤労精神を失っていき、周囲の蛮族の侵入によって滅ぶ…ページ176
行政改革の成否は、一に、国民の皆様の支持と熱意にかかっております。私は、より良きに明日を拓くため、皆様が、政府、国会及び地方公共団体の改革勢力を厳しく見守るとともに、たとえ苦しくとももう一度の痛みに耐えて行政改革というこの国家の大事業を最後までやり遂げてくださることを心からお願いいたします。ページ204