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資本主義の終焉と歴史の危機

国家と資本主義の蜜月時代は終わりを迎えています。現在の資本主義を歴史から紐解いています。かつて西欧で「長い16世紀」という時代があり、金利水準が低く、停滞していたそうです。投資先がない時代でした。これから迎える「長い21世紀」も同様に投資先がない時代であり、中産階級が没落する時代になる可能性が高いとのことです。アベノミクスの誤りを、歴史的、包括的に説明しており、明快、痛快でした。備忘します。

資本主義の終焉と歴史の危機 (集英社新書)

資本主義の終焉と歴史の危機 (集英社新書)

なぜ利子率の低下がそれほどまでに重大事件なのかと言えば、金利はすなわち、資本利潤率とほぼ同じだと言えるからです。…利潤率が極端に低いということは、既に資本主義が資本主義として機能してないという兆候です。ページ16
…利潤率の低下は、裏を返せば、設備投資をしても、十分な利益を生み出さない設備、つまり過剰な設備になってしまうことを意味しています。ページ19
バブルの生成過程で富が上位1パーセントの人に集中し、バブル崩壊の過程で高価な公的資金資金を注入し、巨大金融機関が救済される一方で、負担はバブル崩壊でリストラにあうなどの形で中間層に向けられ、彼らが貧困層に転落することになります。ページ37
資本主義は「周辺の存在」が不可欠なのですから、途上国が成長し、新興国に転じれば、新たな周辺を作る必要があります。それが、アメリカで言えば、サブプライム層であり、日本で言えば、非正規社員にであり、EUで言えば、ギリシャキプロスなのです。20時世紀の新興国の台頭と、アメリカのサブプライムローン問題、ギリシャ危機、日本の非正規社員問題はコインの裏と表なのです。ページ40
量的緩和政策の景気浮揚策の効果は、グローバリゼーションが進む以前の閉鎖経済を前提とした国民国家経済圏の中でしか発揮されないのです。ページ46
先進国の国内市場や海外市場はもはや飽和状態に達しているため、資産や金融でバブルを起こすことでしか成長できなくなったということです。こうして、バブルの生成と崩壊が繰り返されていくのです。ページ52
それまでの国家と資本の利害が一致していた資本主義が一致できなくなり、資本が国家を超越し、資本に国家が従属する資本主義へと変貌していることを示す。… 16世紀以来、500年かけて、人類は国家国民と資本の利害が一致するように資本主義を進化させてさせてきましたが、21世紀のグローバリゼーションはその真価を逆転させようとしています。ページ81
金融バブルの発生には次の2つの条件を満たすことが必要です。第一の条件とは貯蓄が豊かであることに加えて、時代が大きく変わるようなユーフォリア(陶酔)があること、そして第二の条件は、地理的物理的空間拡大が限界を迎えてしまうことです。ページ109
したがって資本主義の最終局面では、経済成長と賃金との分離は必然的な現象なのです。還元すれば、このままグローバル資本主義を維持しようとすれば、このような「雇用なき経済成長」と言う悪夢を見続けなければならないということです。ページ115
量的緩和政策は実物経済に反映されず、資産価値価格を上昇させバブルをもたらすだけです。一方、公共投資を増やす積極財政政策は、過剰設備を維持するために固定資本減耗をいっそう膨らますことになります。そしてこの2つの経済政策はどちらも雇用者の賃金を犠牲にすることになります。ページ124
マルクスの「共産党宣言」とは真逆に、現在は万国の資本家だけが団結して、国家も労働者も団結せずにいる状態です。労働者が連帯するのは現実的に難しい以上、国家が団結しなければ、資本主義にブレーキをかけることはできません。ページ180
現在の1000兆円の借金はどうすればいいでしょうか。私は日本の借金は債権ではなく、日本株式会社の会員権への出資だと考えたほうがいいと思います…その国債がゼロ金利であるということは、配当がないということです。配当はないけれども、日本の中で豊かな生活サービスを享受できる。その出資金が1000兆円なんだと発想転換したほうがいい。ページ193
新自由主義主義者やリフレ論者たちは、せっかくゼロ金利、ゼロ成長、ゼロインフレという定常状態を迎える資格が整っているというのに、今なお近代資本主義にしがみついており、それが結果として多大な犠牲とともに資本主義の死亡を早めてるということに気づかない。ページ196
もはや地球上に周辺はなく、無理矢理周辺を求めれば、中産階級を没落させ、民主主義の土壌を腐敗させることにしかならない資本主義は、静かに終末期に入ってもらうべきでしょう。ページ208