1417年、その一冊がすべてを変えた

「生きている間は、深い喜びに満たされるべきである。そのプロセスは、本質的にエロティックなものだからだ」千年にわたる中世キリスト教世界の中で完全に抑圧・忘却されていたルクレティウス「物の本質について」原子論の復活とその流布についての話です。2000年前、ルクレティウスにより、すでに真実(現代科学の本質)は語られていました。ルクレティウス古代ローマの詩人で、ギリシャの哲人エピクロスの教えを信奉していました。1417年にブックハンターの人文主義者ボッジョが、この「物の本質について」に遭遇し流布させました。ルネサンスに大きな影響を与え、その後の世界を大きく変えたと論じています。エピクロスの偉大さを再認識しました。備忘します。

一四一七年、その一冊がすべてを変えた

一四一七年、その一冊がすべてを変えた

・万物は目に見えない粒子でできている。物質の基本となる粒子「事物の種子」は永遠である。基本となる粒子の数は無限であるが、形や大きさには制限がある。ページ233
・すべての粒子は無限の真空の中で動いている。万物は逸脱の結果として生まれる。逸脱は自由意志の源である。自然は絶えず実験を繰り返している。ページ237
・宇宙は人間のために、あるいは人間を中心に創造されたのではない。人間は唯一無二の特別な存在ではない。人間社会は平和で豊かな黄金時代に始まったのではなく、生き残りをかけた原始の戦いの中で始まった。ページ238
・霊魂は滅びる。死後の世界は存在しない。組織化された宗教はすべて迷信的な妄想である。宗教はつねに残酷である。天使も、悪魔も、幽霊も存在しない。ページ242
・人生の最高の目標は、喜びを高め、苦しみを減ずることである。喜びにとって最大の障害は苦しみではなく、妄想である。物の本質を理解することは、深い驚きを生み出す。ページ247
…魂は一時的にこの世にあるだけで、その後どこか別の処に行く、という有害な信仰に、人は引き込まれてはならない。この信仰は、人々が唯一の生命を生きている環境との間に有害な関係を生じさせるだけである。これらの生命は、宇宙に存在する他のすべての形態と同様に、不確かで脆弱なものである。この世を含む万物は、いつかは崩壊し、その構成要素である原子に戻る。そしてその原子から、永遠に続く物質のダンスの中で、ふたたび他の物質が形成される。しかし、われわれは、生きている間は、深い喜びに満たされるべきである。というのは、われわれは世界を形作る長大なプロセスのほんのちっぽけな一部にすぎず、そのプロセスは、…本質的にエロティックなものだからだ。ページ250