ソニー 盛田昭夫

ソニー 盛田昭夫」を読みました。これは英雄伝です。感動しました。アップルのジョブスが遺影を掲げるほど尊敬していた意味がわかりました。幼少期から父親の手腕を間近に見て育ち、井深という稀代のドリーマーと出会い、ファウンダーとして勝ち進む一代の物語です。トランジスターラジオの成功、トリニトロンテレビの成功、ベータビデオの失敗、ウォークマン、ハンディカム、プレステなど、破壊的なイノベーションを何度も起こす奇跡の人です。他人をその気にさせる人です。将来のためにCBSソニーソニー生命を興し、さらに日本のためにTIとの合弁会社を作るなど八面六臂の大活躍。その後のソニーの凋落を見ていると、会社の興亡は、煎じ詰めるところ経営者にあることを痛感しました。足元にも及びませんが、私も深夜のパーティとかリストラしないとか、類することをしていたことに誇りを感じました。備忘します。

ソニー 盛田昭夫―――“時代の才能

ソニー 盛田昭夫―――“時代の才能"を本気にさせたリーダー

森田は、3度目の会見でラジオ10万台の注文を断った。悄然とする相手に盛田は宣言する。「50年前、あなたの会社のブランドは世間に知られていなかったでしょう。今私は新製品とともに50年後に向けて第一歩踏み出そうとしているところです。多分50年後にはあなたの会社に負けないくらい、ソニーのブランド有名にしてます」と見栄を切った。ページ98
Science engineering、テクノロジーといった分野の場合、じっと考えていても想像力というのは出てこない。1つのターゲット=目標設定して、そこに向かってことによって、クリエイティビティーが出てくる。目標のためにはどうしたらいいか、ということで、逆に技術を開発していく。仕事のトップの非常に大事な使命は、新製品の目標設定である。ページ107
部下に任せるけれども任せた責任は決して放棄しない。その信頼があるからこそ、人はその人のてのひらの上で、自らの潜在能力まで発揮しようと本気になれるのだ。ページ122
世の中には思いつきアイデアはたくさんあるのですが、どのアイデアを取り上げて、思いっきり集中するのかの決断、これが一番大事なことです。アイデアをいかに具体化していくか。実は実行する勇気のある人は非常に少ない。ページ129
商売をするのに、非常に大きなファクターは、convincing power(説得力)です。いいもの作っても、相手を納得させないと売れません。製品そのものにも、業界の先を見通す力、お客様が喜んで買うconvincingパワーがなければ売れないのです。ページ300
こういう全く新しい商品、見本も参考にするものもない、こういう商品には「値ごろ感」というのが特に大切だ。このモノだったら、いくらなら売れるのか。モノには値ごろ感がある。ついでに言えば、どんなにいいものでも「いいけど高い」、これは買わないよ。「高いけどさすがだな」というのは買ってくれる。このニュアンスは月と鼈だぞ。値付けはこの呼吸が勝負なんだ。ページ356
(市CBSソニーの買収交渉にあたり)初対面からわずか2週間で実現したことに驚いたシャインは、「ミスター盛田は、日本人か? と真顔で大賀たちに尋ねたという。こんなに素早く動き、素早く決断できる経営者が日本にいるとは、私は今でも信じられない」と20数年後に述懐している。 ページ396
「われわれはこれまで、1人の従業員もレイオフしたことはない。1973年、オイルショックに襲われた困難な時代でさえ、レイオフしなかった。」この大事な教えは、大賀以降を担った後継経営者たちに学ばれることはなかった。ページ451