農業問題

「農業問題」を読みました。2014年の発刊です。副題は「TPP後、農政はこう変わる」とあり、数年前の大騒ぎを思い出しました。これまでの農産物に対する貿易交渉の流れと農地の問題を理解しました。日本の農地は戦後の農地改革で小作人が小さな農地を得たため所有権が分散しております。効率的な農業をやるには土地集積の問題を解決しなければならないことを知りました。減反などの価格調整や農協の改革も大問題ですが、儲かる農業を実現するためには土地の集積が必須です。また、規制緩和は進行していますが、法人が農業を行うハードルは未だに高いのが実情です。備忘します。

農業問題: TPP後、農政はこう変わる (ちくま新書)

農業問題: TPP後、農政はこう変わる (ちくま新書)

農業は経済発展の基礎というだけでなく、多くの特色を持つ。大地に生産要素としての土地の重要性である。…農地は労働や資本と同様に原材料に新たな価値をもたらした本源的生産要素の1つであるが、このように農地は農業生産に特有の働きを持つため農業に特殊な生産要素とみなされる。 …第二の特色は、農地だけでなく農業に導入された生産試験は大なり小なり農業に特殊なものが多いということである。…農機具は他に転用が効かない。 第3の特色は農業経営にある。ほかの産業と異なり、農業はほとんどの国で家族経営が主流である。ページ27
法人で農地を取得できるのは農業生産法人のみである農業生産法人とは、農業を主たる事業として経営を行う組織であるが、農業関係者が総議決権の¾以上を占める必要があり、農業関係者以外でも出資が認められるのは継続的な取引関係を持つ個人・法人に限られる。また役員の過半が年間150日以上の農業の常時従事者であることや、その農業常時従事者たる役員の過半は年間60日以上農作業に従事することなどの要件を満たす必要がある。ページ81
農地の関しては、時代を超えて信頼に裏打ちされた農地管理という付加価値を受け取っているのである。農地集積のためには、こうして地域地権者の信頼・信用を継続して勝ち取ることが重要になってくる。ページ182
地域の資源を活かした中山間地域の農業として、グリーンツーリズムや、食のテーマパークなども展開されているが、より大きな市場が期待できるのは、農業のプロセスを商品化する方向であろう。農業は自然との関わりやものづくりそのものが魅力的である。実際農作業を楽しいと感じる人々は多く、多様なプログラムでそうした都市住民との交流を図っている地域も多い。ページ221
「風の学校」では利用者は年間3万2千円(練馬区民以外は4万3千円)の料金を払って、まず、農園主の白石氏から農業技術の指導の講習を受ける。利用者は1区画30平方メートルの面積で種まきから管理、収穫まで行う。市民農園のような単なる農業体験ではないため、参加者対象者は20才以上とし、5年まで更新化としている。ページ222