農で起業する!

「農で起業する!」を読みました。副題は「脱サラ農業のススメ」です。外資系サラリーマンとして50歳まで働き、一念発起して宮崎県綾町で起農した物語です。結構、ガンコ親父で笑えます。失敗を成功に結びつける方法論に長けています。儲けるためというより、幸せな生活を目指しています。果樹は手間の掛からない品種もあり週休4日が可能です。備忘します。

農で起業する!―脱サラ農業のススメ

農で起業する!―脱サラ農業のススメ

地下室を有効利用することで生産性を生みます。最初1,300リットルの穀類貯蔵庫を買ったのだが、運用コストがかかる。使い勝手が悪い。たくさん貯蔵できない。貧乏百姓向けでない。…等々小さいことは良い事を標榜する高効率なのかもしれない。…しかし地下室を作ったら穀類の在庫管理が超楽になった。米そばなど平積みできて在庫管理も楽になった。ページ40
私は50歳で百姓になったが、最低でも75歳まで現役でやるつもりだから25年間、25年分の努力を貯金する貯金箱に分けた。このロゴマークをそれだ。もちろん自分が考えたのでは出てこない。ロゴマークというのは一生ものだからこれはプロ中のプロに頼んだ。それを箱にも使う、名刺にも使う、看板にも使う。ページ53
ポイントは、「規模が小さくて効率が良くて悠々自適で週休4日」だ。そういう戦略だからお客さん増やしたくない。ページ58
農業の現場はすでにバイオテクノロジーから情報処理までさらに機械工学、エレクトロニクス、化学や生物科学など多様な分野の技術を高い専門性で要求される、技術集約産業である。しかし現場(ムラ)にはそんな技術もなく、人もいない。ページ84
もしかしたらこれを読んだ人は、我々が大変な努力をして情報化とその処理に取り組んでいると思うかもしれない。しかしこれはちょっとしたコスト。方向付け、それに心がけの問題である。それに割いてる時間は我々2人の年間総労働時間、3,000時間のわずか2%程度である。それなしにはすでに栽培が可能ではないので、栽培管理と情報収集の境界が明確でないことも一因だが、それほどに作物を栽培=情報処理になっていることにもよる。ページ108
農業経営のベストミックスは、経営40パーセント、マーケティング40パーセント、ものづくり20パーセントだ。これは19世紀、江戸時代以来のものづくり100パーセント作ったものを全てお上に差し出すという慣習に対する問題提起だ。ページ119
私が行ってる農業、とりあえず「最適化農業」と呼んでおく。何も経済だけで最適化しようと言ってるわけではない。自分の信念や価値観の反映はあっても当然だろう。…それぞれの切り口でちょっと最適化を試みると劇的に農業が楽しくなる可能性がある。自分と自分の経営を、ときには鏡に映して見直ししつつ経営すべきだ。ページ125
私は就農以来、農業に関する教科書や雑誌で知識を得、現場で検証してきた。その結果、たどり着いた結論が冒頭の「半分は間違えルール」である。問題は間違いを多くの場合、農業改良普及所や農業試験場、さらにはマスコミが後押ししてて、その間違いを真実に見せかける手伝いをしてるということだ。ページ154
農業経営における資産は、もはやハードではないと思う。土地は大量の農作物と50パーセントに迫る減反で余りに余っている。農業政策インフラがないに等しいということである。私の経営でも一番重要な資産は顧客ベース、栽培技術資産、経営ノウハウなどのソフトベースである。ページ165
百姓は毎日、毎日チャレンジの連続でそのチャレンジの数だけ失敗と反省がある。それだけ奥深く、悲しくもあり、楽しくもある。私は専業農家だが、認定農業者でもないしJASの認証もとっていない。だからそれだけ公的評価は低いのかもしれない。がなるべく農薬を減らしていきたいというテーマへの自分なりの方向付けは、「敵地敵季栽培」「虫や病気に犯されづらい品種の選択」「歩留まり低下をそのまま天与として受け入れる」「その作物に生活を預けない」の4点に絞られつつある。ページ217