宮沢賢治の真実

宮沢賢治の真実」を読みました。宮沢賢治については、「雨二モマケズ」と「永訣の歌」くらいの知識しかありません。宮沢賢治は農業の先生で田舎のインテリくらいの認識でした。「銀河鉄道」については童話のわりに難解な内容だとの印象はありますが、あらすじもよく覚えていません。本書を読んで宮沢賢治の出生から家族のこと、身の処し方まで知ることができました。もちろん各作品の内容も。友人との同性愛に悩んだこと、妹の悩みを知り驚き嘆いたことを知りました。宮沢賢治は修羅と化し難解な文語詩を残しました。この文語詩解明がこの本の主題です。丹念な資料の読み込みと現地調査、仮説と検証で作品を解説しています。素晴らしい論考です。百年前の、或る日の天候や星座、景色まで調べて作品との関連を明らかにしています。まるでミステリーを読んでいるように面白く読めました。作者に深く感謝します。謎の文語詩を備忘します。

宮沢賢治の真実 : 修羅を生きた詩人

宮沢賢治の真実 : 修羅を生きた詩人

猥れて嘲笑めるはた寒き 凶つのまみをはらはんと
かえさまた経るしろあとの、 天は遷ろふ火の鱗。
つめたき西の風きたり、 あららにひとの秘呪とりて、
粟の垂穂をうちみだし、 すすきを紅く耀かす。